2002 Fiscal Year Annual Research Report
大動脈瘤に対する高有孔性ステント型人工血管治療 犬の胸部大動脈における実験的検討
Project/Area Number |
13877140
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大内 泰文 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (40304224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松末 英司 鳥取大学, 医学部, 助手 (30325013)
中村 希代志 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (00294330)
橋本 政幸 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (50284005)
神納 敏夫 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (20254401)
原田 広海 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | ステント型人工血管 / ステントグラフト / 大動脈瘤 / 解離性大動脈瘤 / 高有孔性人工血管 |
Research Abstract |
近年大動脈瘤の治療において、ステント型人工血管の報告が多数みられる。しかし、現在使用されている人工血管膜は低有孔性で、新生内膜で覆われないため逸脱の危険性があり、留置のためのディバイスも太く経皮的留置ができないのが現状である。これに対し、高有孔性ステント型人工血管は細径で経皮的留置が可能であり、良好な細胞進入が得られる可能性がある。そこで我々は、大動脈の血流を垂直に受けるよう高有孔性人工血管膜を留置し、その血流遮断能力を評価した。 前回、血流に対し垂直に幕を張るように高有孔性人工血管膜(porosity 10,000)を縫いつけたステントオクルーダーを、ビーグル成犬6頭の腹部大動脈に留置し、人工血管膜上下の動脈圧格差を計測し、経時的に圧格差が発生することを発見し報告した。今回、ステントオクルーダー留置後2ヶ月で安楽死させ腹部大動脈を取り出し、人工血管膜周囲を肉眼的、光顕的に観察した。肉眼的には全ての人工血管膜が、下流方向に対し弾丸状に形成された新生内膜に覆われていた。光顕的に観察すると、人工血管膜周囲に線維芽細胞の進入がみられた。この肉芽内には新生毛細血管の形成も見られ、石灰化等不良肉芽は観察されなかった。また、この新生内膜の表層は内皮細胞で覆われていた。動脈圧格差の発生は個体差が見られたが、新生内膜の形成にはその影響は見られなかった.1頭のみ新生内膜の断裂が見られた。Retrospectiveに検討をすると、留置前の人工血管膜にほつれが認められ、同部が新生内膜の形成不良の原因と考えられ、留置時の解れなどがendoleakの原因となる可能性が示唆された。しかし、留置後早期に圧格差を発生し、膜として作用することが証明され、また、長期留置においても良好な新生内膜に被覆されることが示され、高有孔性人ステント型人工血管は大動脈瘤治療に対する有効な治療となりうる可能性が示唆された。
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