2002 Fiscal Year Annual Research Report
予備加温は腎移植に有用か-臓器移植におけるマイルド温熱療法-
Project/Area Number |
13877147
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
松村 英仁 愛知医科大学, 医学部, 助手 (30319355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 要子 愛知医科大学, 医学部, 講師 (60065597)
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Keywords | HSP70 / ストレス蛋白 / プレコンデイショニング / 予備加温 / 腎移植 / 生体防御 / ドナー |
Research Abstract |
細胞は温熱ストレスをはじめ様々なストレスに対しHSP70を誘導し、ストレス傷害を修復する。我々は、従来より、手術などの傷害性ストレスに対し、予備加温でHSP70(ストレス蛋白)を誘導し、傷害性ストレスに対する生体防御効果を検討してきた。一方、臓器移植が実際の医療現場で実施され、腎不全に対しても腎移植がなされている。我々は昨年度、腎不全の実験モデルである腎虚血・再灌流傷害実験で、予備加温により誘導されたHSP70が、腎虚血・再灌流傷害を防御することを報告した。本年度では、摘出腎の保存経過中の機能低下などの細胞障害を防御する目的で、腎移植に先立って腎提供マウスの腎局所を予め加温しHSP70を誘導させ、保存期間中の腎組織障害、HSP70の発現、腎細胞障害を対照群(非加温群)と比較検討した。 実験方法:ddY,7週齢雄マウスの左腎局所を動物用RF加温装置(サーモトロン;山本ビニタ社)を使用し、直腸温41℃で30分間予備加温した。予備加温2日または4日後腎動脈よりRPM1640培養液で潅流後腎を摘出し、RPMI1640培地中で4℃で保存し、0〜5日後に腎上部1/2をホルマリン固定後HE染色、PAS染色し腎組織障害を検討した。また、HSP72,HSC73の免疫組織染色を行い、HSP70の発現を測定した。腎下部1/2はホモゲナイズ後上清のLDH,ALP活性を測定した。又、培養液中のLDH,ALP活性を測定した。 結果:腎ホモゲナイズ上清のLDH,ALP活性はともに摘出2日後の方が4日後に比し高い傾向を示した。LDH活性は、1日後に約1/2に活性は低下したが、その低下は予備加温群の方が低い傾向を示した。その後ゆっくり活性は低下したが、予備加温群と対照群で有意差は認めなかった。ALP活性は、保存期間中ゆっくりと活性低下し、予備加温群の方が若干活性は低かったが有意差は認めなかった。また、培養液のLDH活性は、保存期間と共に増加し、予備加温群の方が低下していたが有意差は認めなかった。ALP活性は、3日後まで増加しその後一定となり予備加温群と対照群に有意差を認めなかった。HE,PAS染色での腎組織所見では、保存期間中予備加温群の方がやや組織障害の程度は軽度であった。免疫組織染色でのHSP70の発現は、予備加温群の方がやや強く発現していた。 以上の結果より、予備加温は、腎摘出後の腎組織障害、細胞障害を防御し、HSP70の発現も増強傾向を示した。また、予備加温4日後より2日後の方が防御効果は大であったことより、腎移植において、腎摘出前の予備加温は、保存期間中の腎障害の防御に有効であると思われた。よって、腎移植に際しては、プレコンデイショニングとして、ドナーは腎移植2日前に予備加温後腎摘出するのが最適と思われた。
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Research Products
(2 results)