2002 Fiscal Year Annual Research Report
経頭蓋磁気刺激法(TMS)によるうつ病および強迫性障害の治療
Project/Area Number |
13877150
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田 龍朗 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00109323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粥川 裕平 名古屋工業大学, 保健管理センター, 教授 (20214570)
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Keywords | 経頭蓋磁気刺激法 / うつ病 / テトラヒドロビオプテリン |
Research Abstract |
経頭蓋磁気刺激法の臨床応用は、平成13年度に当大学の倫理委員会に受理された。治療は安全性を考慮して外来では行わず、入院治療で行う事として受理されたものである。平成13年度に血液中のテトラヒドロビオブテリン測定系は完成し、いつでも運転可能となった。本年度も当院精神科および関連医療機関で、上記倫理委員会で受理された基準に基づき同治療法の適応患者を募集した。8月に1例慢性うつ病患者に実施すべく、患者および家族に治療について説明し同意を得たので、入院し、治療チームを編成したが、入院後、経頭蓋磁気刺激法の実施予定日までの間に症状が軽快し、ハミルトンスコア(うつ病重症度スコア)が10点以下にまで軽快したため協議の末実施に至らなかった。その他にも数例紹介された候補患者はあったが、いずれも治療に導入する基準(特に診断名と合併症)を満たさず、実施出来なかった。実施0例に至った事態について、その理由としてまず適応の基準が厳しかったことが挙げられる。安全な方法とはいえ、同治療法を将来定着させるためにも事故を防ぎ、きちんとした理論的根拠をもって適用し効果判定を行うにはやむを得ない事と考えている。次に、同治療法の利点である速効性、簡便性と安全性が、厳密に入院治療で実施することにしたことで、患者側のメリットが減少し、わざわざ入院するくらいなら外来での薬物療法の工夫で何とかしてほしいと思わせてしまった事がある。うつ病は生活の質を低下させるが直ちに生命を侵す疾患でないだけに、患者には、確実に治癒するのでなければわざわざ入院して、難解な説明や検査や採血を受ける必然性が無くなる。今後改善すべきことは、同治療法の利点をより明確に患者および精神科医に宣伝すること、国内では外来治療で実施している施設もあるので外来で実施可能な根拠について情報収集し、外来で実施できるよう倫理委員会に再申請することをまず行いたい。
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