2001 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞増殖・分化調節因子としてのFGF10の生理的・病態生理的意義に関する研究
Project/Area Number |
13877170
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 佳宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (70291424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 茂明 東京大学, 分子生物細胞学研究所, 教授 (60204468)
伊藤 信行 京都大学, 薬学研究科, 教授 (10110610)
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Keywords | 脂肪細胞 / 増殖 / 分化 / FGF10 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
【背景・目的】Fibroblast growth factor10(FGF10)は胎生期において四肢や肺、脂肪組織の形成に必須の増殖因子であるが、成体においては主に脂肪組織において発現が認められ、成体の脂肪組織においてFGF10が重要な役割を担っている可能性が示唆される。一方、FGF10ホモ欠損マウスは肺の形成障害により出生後早期に死亡する。本研究では肥満および肥満合併症の発症におけるFGF10の病態生理的意義を検討するために、FGF10ヘテロ欠損マウス(FGF10+/-)を用いて解析を行った。 【方法・結果】標準食飼育下においてFGF10+/-と野生型マウス(FGF10+/+)の体重に有意差は認められなかった。しかしながら、10週齢より高脂肪食負荷を行ったところ両者において体重増加を認め、負荷後4週よりFGF10+/+はFGF10+/-と比較して有意に高体重を示した。負荷後8週目のFGF10+/-(31.5±2.7g)とFGF10+/+(41.8±2.5g)における糖代謝を検討したところ、血糖値に有意差は認められなかったが、血中インスリン濃度はFGF10+/-で低値を示した。糖負荷試験およびインスリン負荷試験においてFGF10+/+と比較しFGF10+/-で良好な耐糖能およびインスリン感受性が認められた。また負荷後8週目におけるFGF10+/-の脂肪組織重量はFGF10+/+の約1/2に減少していたが、組織学的には脂肪細胞の大きさに明らかな差は認められず、FGF10+/-とFGF10+/+の脂肪組織重量の差は脂肪細胞の数の差によると考えられた。 【考察】FGF10は高脂肪食による脂肪細胞の増殖を促進し、高脂肪食負荷による肥満に伴う糖尿病発症を促進する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Shintani et al.: "Ghrelin, an endogenous growth hormone secretagogue, is a novel orexigenic peptide that antagonizes leptin action through the activation of hypothalamic neuropeptide Y/Y 1 receptor pathway"Diabetes. 50. 227-232 (2001)
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[Publications] H.Chusho et al.: "Dwarfism and early death in mice lacking C-type natriuretic peptide"Proc. Nati. Acad. Sci. USA. 98. 4016-4021 (2001)