2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳死後の肺障害発生機序の解明と肺機能温存法開発に関する研究
Project/Area Number |
13877184
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70301265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋津 岳士 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50196474)
田中 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90252676)
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
塩崎 忠彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60278687)
鍬方 安行 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50273678)
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Keywords | 脳死 / 急性肺障害 / 炎症性サイトカイン / 血液レオロジー / ステロイド |
Research Abstract |
前年度研究結果をもとに、急性脳粗大病変(重症頭部外傷、脳血管障害など)による脳死症例においてみとめられる急性肺傷害のメカニズムを解明するため、脳死前後の多核白血球機能の解析をさらに詳細におこなった。脳死にともない多核白血球の活性化(活性酸素産生能の亢進など)が引き起こされるが、その主要なメカニズムとして多核白血球核内の転写因子の発現に注目し、核内NF-kBとglucocorticoid receptorをフローサイトメトリーで測定する系を確立した。この測定系を使って急性重症患者の多核白血球機能の解析をおこない、多核白血球の活性化が核内NF-kBの発現と有意な相関をもつことを証明した。現在、脳死前後の多核白血球核内に発現するNF-kBとglucocorticoid receptorのバランスを測定しており、脳死にともなう多核白血球の活性化を両転写因子がいかに制御するか、また脳死にともなう脳、神経、内分泌系の異常(血中cortisol低下など)と関連性を有するか否か確認中である。また、我々が目指している脳死患者に対するステロイド投与の有効性を確認するために、ステロイドが多核白血球のNF-kBとglucocorticoid receptorの発現バランスにどのように影響するかin-vitroで確認中である。現在のところ、ステロイドの投与は多核白血球核内のglucocorticoid receptor発現を増強し、多核白血球の機能(活性酸素産生能、貪食能など)を有意に抑制する結果が得られている。今後、脳死患者におけるステロイド投与が多核白血球核内に発現するNF-kBとglucocorticoid receptorのバランスにどのように影響するか、また急性肺傷害を軽減するか否か検討する予定である。
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Research Products
(1 results)