2001 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病振戦を薬理学的に作り出せるか?:セロトニン(5-HT1A)系の関与に関する研究
Project/Area Number |
13877217
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
高橋 敏夫 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (20206824)
|
Keywords | パーキンソン病 / 振戦 / 背側縫線核 / セロトニンニューロン |
Research Abstract |
【研究の背景】私たちは、平成12年度までの研究で、MPTP投与により黒質線条体系の障害と背側縫線核(セロトニン系の細胞が多い)の凝固破壊の併用で、パーキンソン病様の静止時振戦がネコで誘発されることを確認している(平成10年度11年度科学研究補助金(基盤B)研究成果報告書)。今回の研究では、薬理学的手法のみによりパーキンソン病振戦の発現を目差す。 【研究の方法】平成13年度の研究では、MPTP全身投与(3mg/kg/day,隔日投与)と背側縫線核の破壊の代わりである5-HT1A receptor antagonist(WAY-100635)(Sigma RBI社製)の筋注投与(0.1〜0.3〜0.5mg/kg/day)を、ネコ三頭で行った。 セロトニンニューロンはオートレセプターを介するフィードバック制御が強いとされるため、5-HT1A受容体のdownregulationが生じて5-HT1A receptor antagonistの効果が現れるのに一定期間要する。文献から14回程度の投与をこのdownregulationの生じる期間と予測し、これにMPTP投与の効果が現れる時期を合わせるように、投与方法を検討した。前年度までの破壊実験との併用では、MPTPによる固縮と無動が出現するのは隔日投与開始後7-8回目の投与後からであったため、これらのネコでは、MPTPは隔日投与し、WAY-100635は連日投与とし、14日目頃の振戦発現をめざした。 【結果】MPTPと5-HT1A receptor antagonistの相互作用のためか、今回のネコでは当初予測していた筋固縮が十分に発現されず、このため振戦の発現にまでは至らなかった。投与日を重ねたことが原因となった可能性もあり、今後、それぞれの投与時期と、投与量を再検討する必要がある。
|