2001 Fiscal Year Annual Research Report
定常状態にある在来遺伝子を標的とした新たな遺伝子治療―脳血管攣縮における試み―
Project/Area Number |
13877218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大熊 洋揮 弘前大学, 医学部, 講師 (40211099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾金 一民 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (70292159)
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Keywords | 脳血管障害 / 遺伝子治療 / 脳血管攣縮 / クモ膜下出血 |
Research Abstract |
クモ膜下出血後の脳血管攣縮においてαアクチンを標的とした遺伝子治療を施行した.αアクチンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを3種類デザインしラット培養平滑筋を用いてその効果を比較検討した.アンチセンスオリゴヌクレオチドをホスホロチオエート修飾を施し,5および10μMの濃度となるように培養液に溶解し,ラット平滑筋細胞をインキュベーションした.24時間後に培養平滑筋細胞を収集し,tRNAを抽出し,これをreverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)法で検索した.結果として5'-TCCGGGCAGCGGAAGCGTTC-3'のアンチセンスオリゴヌクレオチドで,無処置群,および他のアンチセンスオリゴヌクレオチドに比し有意にαアクチンmRNAの低下が示された.濃度による差異は認めなかった.そこでこのアンチセンスオリゴヌクレオチドを用い,36時間,48時間のインキュベーションを行ったが,36,48時間後ともに24時間後と同様のαアクチンmRNAの低下がみられた.また,アンチセンスオリゴヌクレオチドをリポソーム(カチオニック リピッド)と混合しカチオニック・リピッドが40μMの濃度で同様のインキュベーション(24時間)を行ったところ,リポソーム併用ではアンチセンスオリゴヌクレオチド単独に比し,αアクチンmRNAは約70%に低下した. この知見をもとに,無処置正常ラットを用いアンチセンスオリゴヌクレオチド髄腔内投与の安全性の検討を行った.10nanomoleのアンチセンスオリゴヌクレオチドを単独またはリポソームと併用し大槽内へ注入し24時間後に脳および脳底動脈を摘出した.脳底動脈壁のαアクチンmRNAは無処置群に比し有意に低下していた.組織学的には脳および脳底動脈に明らかな変化はみられず傷害性は無いものと判断された.
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