2002 Fiscal Year Annual Research Report
定常状態にある在来遺伝子を標的とした新たな遺伝子治療―脳血管攣縮における試み―
Project/Area Number |
13877218
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大熊 洋揮 弘前大学, 医学部, 講師 (40211099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾金 一民 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (70292159)
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Keywords | 遺伝子治療 / 脳血管攣縮 / くも膜下出血 / αアクチン |
Research Abstract |
脳血管攣縮は持続的な血管平滑筋の収縮により血管内腔の狭小化が生じ脳虚血がもたらされるものでクモ膜下出血後の重大な合併症である.多数の細胞内情報伝達系が複雑に関与していることから治療が困難であった.そこで平滑筋収縮の最終段階を構成する蛋白の一つであるαアクチンに焦点を当て遺伝子治療を施行した.つまり以下の3つに分け実験を施行した. 1)正常ラットに対し,αアクチンmRNAのアンチセンスオリゴDNAをcationic liposomeと複合体とし髄腔内に注入し,経時的に脳底動脈を摘出し,αアクチンmRNA発現の変化をRT-PCR法と免役組織学的方法で検索した.注入48時間後まではαアクチンmRNA発現の有意な低下がみられた. 2)ラットにクモ膜下出血を作成し,経時的に脳底動脈のαアクチンmRNA発現の変化を前述と同様の方法で,脳底動脈の脳血管攣縮の程度(血管内腔の狭小化)を定量的組織学的分析で検索した.αアクチンmRNA発現はクモ膜下出血4日目まで有意な変化は示さなかった.脳底動脈の内腔は2日目までは有意に低下していた. 3)以上の結果をもとに脳血管攣縮に対するαアクチンmRNAのアンチセンスオリゴDNAの効果を,クモ膜下出血作成2日目を評価期間として検索した.クモ膜下出血作成直後にαアクチンmRNAのアンチセンスオリゴDNAをcationic liposomeと複合体とし髄腔内に注入し,2日目に脳底動脈を摘出しαアクチンmRNA発現の変化をRT-PCR法と免役粗織学的方法で,脳血管攣縮の改善効果を定量的組織学的分析で検索した.治療群では脳底動脈の内陸は有意に増大し,かつαアクチンmRNA発現の有意な減少がみられた. 以上からαアクチンmRNAのアンチセンスオリゴDNAは脳血管攣縮に対する有力な治療法になり得ると思われる.
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