2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経膠腫におけるテロメラーゼ活性の発現とその制御機構:抗腫瘍療法としての検討
Project/Area Number |
13877232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
吉野 篤緒 日本大学, 医学部, 講師 (50256848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 学郎 日本大学, 医学部, 助手 (40287652)
片山 容一 日本大学, 医学部, 教授 (00125048)
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Keywords | 脳腫瘍 / テロメラーゼ活性 / MIB-1 |
Research Abstract |
各種脳腫瘍におけるテロメラーゼ活性とその他の因子の関係 (1)テロメラーゼ活性との関係[定性:TRAP法.定量:PCR-ELISA法] 1-1、良性脳腫瘍ならびに転移性脳腫瘍(Non-diffusely infiltrating astrocytomas):髄膜腫ではテロメラーゼ活性を認めた症例は存在しなかったが、下垂体腺腫では11%(3/28)に認めた。一方、転移性脳腫瘍では100%(8/8)に認められた。テロメラーゼ活性値は下垂体腺腫では平均0.14±0.39と低値であったが、転移性脳腫瘍では7.73±3.46pmole/mlと高値を示した。 1-2、星状膠種(Diffusely infiltrating astrocytoma):WHO grade IIでは9%(1/9)に、grade IIIでは58%(7/12)、grade IVでは75%(6/8)にテロメラーゼ活性を認めた。活性値はgrade IIでは0.09±0.30、grade IIIでは0.52±0.54、grade IVでは2.58±3.31pmole/mlであった。星状細胞腫では病理組織学的gradeが上がるにしたがい発現率が高値となり(p<0.05)、活性値も高値であった(p<0.05)。テロメラーゼ活性はprogressive typeの悪性転化あるいはde novo typeの発生に関与するものと考えられた。 (2)テロメラーゼ活性と増殖能(proliferative cell index : PCI) 2-1、良性脳腫瘍ならびに転移性脳腫瘍(Non-diffusely infiltrating astrocytomas):抗Ki-67抗体を用いたPCIは下垂体腺腫では1.7±1.4%であった。テロメラーゼ陽性群のPCIは平均2.6%と陰性群の0.5%に比べ高い傾向を示した。転移性脳腫瘍では最も高く18.5±3.4%であった。症例数が少ないが、PCIとテロメラーゼ活性値には転移性脳腫瘍において相関関係が認められた(p<0.05,Spearman r=.778)。 2-2、星状膠種(Diffusely infiltrating astrocytoma) : grade IIでは平均5.15±4.15、grade IIIでは12.32±7.92、grade IVでは23.47±5.36%であり、gradeが上がるにしたがい高値となった(p<0.01)。そして、星状膠腫においてPCIとテロメラーゼ活性値には相関関係が認められた(p<0.01,Spearman r=.780)。PCIとテロメラーゼ活性値が相関することを示した初めての報告である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 福島 崇夫, (他、渡辺 学郎, 吉野篤緒, 片山容一): "下垂体腺腫におけるテロメラーゼ活性の生物学的意義"日本内分泌学会雑誌. Vol.77 Suppl. 06-109 (2001)