2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13877246
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University of Health Sciences |
Principal Investigator |
笠井 久隆 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 教授 (80087163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜本 洋子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教授 (40315700)
伊藤 尚 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70082815)
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Keywords | 骨形成 / 脱灰 / コラーゲン / 強酸性タンパク質 / コラゲナーゼ処理 / HPLC / ゲルろ過 / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
牛大腿骨(繊密骨)を10%酢酸により脱灰し得られた抽出液を用いて、新規タンパク質を探索した。本年度は、昨年度に加え以下の通りに新たな知見が得られた。 1)貝殻の研究から得られた知見をもとに、骨脱灰抽出液を用いて酸性条件下(pH2.2)でイオン交換HPLCを行った。吸着画分をゲルろ過により精製し、アミノ酸組成分析及びN末端アミノ酸配列分析を行った。その結果、オステオアドヘリンのN末端領域、14残基の強酸性ペプチドが検出された。また、グルタミン酸に富む(22mol%)画分の配列分析では連続してグリシンが検出された(コラーゲンペプチド)が、グルタミン酸に富む画分については未同定である。 2)酸性条件下で行ったイオン交換HPLCの素通り画分を、細菌性コラゲナーゼにより処理した後、1)と同様に精製した。精製画分については、グルタミン酸に富むアミノ酸組成を示したが、配列分析では検出されなかったため未同定である。 1)及び2)の結果から、骨脱灰抽出液中に検出されたグルタミン酸に富むタンパク質は、N末端をピログルタミル基で修飾されている可能性があると考えられる。 3)いくつかの低分子画分のアミノ酸配列分析では、1サイクル目のみ顕著に2〜3のアミノ酸主ピークが同時に検出された。この現象はコラゲナーゼ処理を行った場合に限り認められた。これは架橋したコラーゲンペプチドがコラゲナーゼにより断片化され、架橋部分が分離されたために起こる現象であると考えられる。 例えば、骨粗髪症診断マーカーとして知られる架橋物質ピリジノリンは、3本のコラーゲン鎖を架橋する。コラーゲンの架橋部位はテロペプチドに多く、ホールゾーン近接に位置するため、グルタミン酸に富むタンパク質と共に石灰化に関与する可能性が考えられ興味深い。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 村上拡治, 笠井久隆他: "骨中の強酸性タンパク質の特性と機能"生化学. 74(8). 807 (2002)
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[Publications] 細川健太郎, 笠井久隆: "骨中の新規酸性タンパク質の探索とその機能解析"東京保健科学学会学術集会抄録集. 第9回. 13 (2003)