2002 Fiscal Year Annual Research Report
部分的液体換気の超音波による評価―経食道エコー法を用いて―
Project/Area Number |
13877252
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
坪 敏仁 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (30133870)
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Keywords | 急性肺障害 / 経食道心エコー |
Research Abstract |
現在、課題研究を少し変えて実施している。急性肺障害において肺障害部位の局所血流を測定することは酸素化能の障害を解析する上で重要である。我々は経食道心エコーを用いて、急性肺障害犬の障害部局所肺血流測定モデルを考案した。このモデルを使用し、血管作動薬の局所肺血流と酸素化能に及ぼす影響を検討した。 方法:15頭の雑種成犬(8.-13kg)を対象とした。全身麻酔下に、ダブルルーメン気管チューブを挿入し、0.05N塩酸を3ml/kg左後葉に肺動脈カテーテルを用いて注入後、カフに空気を注入し気道末梢をブロックした。超音波診断装置装置としてHP製SONOS1500を用い、64素子マルチプレーン経食道心エコープローブを用い、下行大動脈を介して左肺底部を観察した。肺血流はカラードップラー法とパルスドップラー法を用いて測定した。測定項目は肺動脈と肺静脈の最高血流速度および時間速度積分値とした。カテコラミンの影響を見るためイソプロテレノール0.1μg/kg/minまたはフェニルエフリン1.0μg/kg/minを投与し、測定値の変動を見た。またPGE1の酸素化能に及ぼす影響を検討するため、心拍出量一定状態で1000ng/kg/minまで投与し、シャント率の変動とあわせ検討した。 結果:最大肺静脈血流速度はイソプロテレノール投与で24.5±5.0cm/secから38.8±5.6cm/secと増加したが、フェニルエフリンでは32.0±4.3cm/8ecから24.5±5.3cm/sec(p<0.01)と著明に減少した。PGE1 1000ng/kg/min投与はシャント率を28.5±6.5%から36.2±11.3%と増加させ、肺静脈最大血流速度を31.3±6.2cm/8ecから41.1±10.7cm/secに著明に増加させた(p<0.01)。PGE1 1000ng/kg/min投与時のシャント率と時間速度積分値の間には有意な相関が認められた(r=0.075,p<0.01)。 結語:生体で局所病変部の肺血流量を測定する方法は少ない。今回、我々は経食道心エコーを用いて、病変部肺動静脈血流が観測可能なモデルを犬で作製した。またカテコラミンおよびPGE1による血流変化及び酸素化能に対する変化も検討し得た。
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