2002 Fiscal Year Annual Research Report
成長過程における痛みに対する感受性変化のメカニズム
Project/Area Number |
13877254
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤原 直士 新潟大学, 医学部, 教授 (70181419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 洋子 新潟大学, 医学部, 助手 (80018853)
瀬尾 憲司 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40242440)
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Keywords | 成長 / 侵害刺激 / 三叉神経脊髄路核尾側亜核 / 膠様質細胞層 / 膜電位画像 / 細胞内Ca^<2+>画像 |
Research Abstract |
成長による痛みの伝達機構の変化を解析するため、顎顔面領域からの侵害刺激の中継核である三叉神経脊髄路核尾側亜核について、三叉神経求心路の電気刺激によって誘発される尾側亜核内の興奮伝播を画像化し、同領域における痛覚伝達の機序について以下の知見を得た。なお、解剖学的に複雑なこの領域における興奮伝播の空間的広がりや時間変化は知られていない。(1)成熟C57BL/6マウスの延髄水平断スライス(厚さ400μm)灌流系における膜電位感受性色素RH-414染色による膜電位画像では、辺縁層神経線維束への単発電気刺激により、吻側方向の膠様質細胞層に数ミリ秒間の興奮伝搬が観測された。また、細胞内Ca^<2+>指示薬Rhod-2の負荷によるCa^<2+>画像では、電気刺激後、興奮伝搬がみられた領域に数十ミリ秒続く細胞内Ca^<2+>上昇が観察された。単発刺激に対するこれらの応答は、非NMDA型グルタミン酸受容体拮抗薬CNQXによって抑制された。(2)辺縁層神経線維束へのテタヌス刺激により、膠様質細胞層に刺激後、数百ミリ秒持続する膜脱分極と細胞内Ca2+上昇が誘発されたが、NMDA型グルタミン酸受容体ブロッカーMK-801およびNK1受容体拮抗薬L-703.606はいずれもそれらの応答を抑制した。(3)生後1〜6週の幼弱マウスの同様な延髄スライスを用いて、電気刺激に対する応答の観察をおこなったところ、テタヌス刺激に対する持続性の膜脱分極応答は、生後1、2週では観察されず、3〜4週から応答が観察されるようになった。以上より、尾側亜核内では刺激の種類に応じて、興奮伝播の広がりや時間変化が異なり、興奮伝達の機序に違いがあること、また、テタヌス刺激のような強い刺激に対する興奮伝達応答は生後3〜4週以降に機能形成が完成することが示唆された。
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Research Products
(1 results)