2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13877283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
暁 清文 愛媛大学, 医学部, 教授 (00108383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠森 裕介 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (60335908)
白馬 伸洋 愛媛大学, 医学部, 助手 (70304623)
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Keywords | 低温療法 / 突発性難聴 / グルタミン酸 / アポトーシス / 内有毛細胞 / 内耳虚血 / 内耳障害防御 / 蝸電図 |
Research Abstract |
虚血性難聴の動物モデルを用いて、低体温による虚血性内耳障害の防御メカニズムを研究した。実験動物にはスナネズミを用い、両側の椎骨動脈を15分間遮断・再開通することにより一過性内耳虚血を負荷した。虚血の開始20分前から120分後までの間、常温群では直腸温を37度に、低体温群では32度に維持した。その結果、1)蝸牛神経複合活動電位(CAP)は両群ともに虚血開始直後に消失し、最大刺激音圧(11OdBSPL)にても反応は認められなかった。再開通後、両群ともCAP閾値は徐々に回復したが、低体温群では常温群と比べ回復は速やかであった。虚血開始後120分での常温群におけるCAP閾値上昇は約35dBであったが、低体温群では約12dBであり、内耳低体温によりCAPの閾値上昇は有意に抑制された。2)外リンパ中のグルタミン酸濃度は常温群では虚血開始と同時に上昇し始め、虚血終了直前には虚血前の約19倍にまで上昇した。再開通後は徐々に減少し120分後には虚血前の約2倍にまで低下した。一方、低体温群では虚血中のグルタミン酸濃度上昇は強く抑制され、再開通後も虚血前と比べ変化はなかった。3)組織学的には常温群では内有毛細胞を取り囲む蝸牛神経樹状突起の腫脹、空胞変性が認められ、徐々にクロマチン凝集などのアポトーシス様の細胞変性もみられたが、低体温群ではこのような所見は認められなかった。 本研究の結果、低体温には虚血性神経細胞障害の原因と考えられるエネルギー欠乏、神経細胞内へのCa2+流入、フリーラジカルやNOの産出、細胞外へのグルタミン酸遊離などを抑制することにより内耳障害を防御する機能のあることが確かめられた。薬剤の投与ではこれら全ての機序に作用させることは不可能と思われ、効果は部分的・断片的とならざるを得ない。これに対し内耳低温療法は非特異的に作用するので広範な治療効果が期待できる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Watanabe F, et al.: "Hypothermia prevents hearing loss and progressive hair cell loss after transient cochlear ischemia in gerbils"Neuroscience. 102・3. 639-645 (2001)
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[Publications] Hyodo J, et al.: "Hypothermia reduces glutamate efflux in perilymph following transient cochlear ischemia"Neuroreport. 12・93. 1983-1987 (2001)
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[Publications] 谷口昌史, 他: "一過性内耳虚血後の内有毛細胞におけるアポートシス様細胞死"Otology Japan. 11・4. 371-371 (2001)
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[Publications] 兵頭 純, 他: "一過性内耳虚血時のグルタミン酸細胞障害における低体温の抑制効果"Otology Japan. 11・4. 374-374 (2001)
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[Publications] 古賀健一郎, 他: "一過性内耳虚血後の内有毛細胞におけるアポトーシス"Audiology Japan. 44・5. 363-364 (2001)
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[Publications] 白馬伸洋, 他: "一過性内耳虚血障害に対するアデノウイルスによるGDNF遺伝子治療の保護効果"Otology Japan. 11・4. 375-375 (2001)