2001 Fiscal Year Annual Research Report
DNA障害修復過程におけるアラキドン酸代謝酵素15―リポキシゲナーゼの役割
Project/Area Number |
13877318
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 卓 長崎大学, 歯学部, 教授 (30172406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 茂樹 長崎大学, 歯学部, 助手 (20300882)
角 忠輝 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80284701)
片山 郁夫 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80295089)
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Keywords | 15-LOX / X線 / 紫外線 / DNA障害 / 白血病細胞 / セリンキナーゼ |
Research Abstract |
アラキドン酸の直下に位置する4つの酵素、5-Lipoxygenase、12-Lipoxygenase、15-LipoxygenaseおよびCycolooxygenasは、それより下流にある代謝産物の生成を制御する酵素として重要な役割を果たしている。最近、この4つの酵素が悪性腫瘍の増殖に深く関与しているらしいことが報告された。これらの結果は、細胞増殖抑制ならびに細胞死に関して、15-LOXが何らかの重要な役割を果たしている可能性を示している。平成13年度はDNA障害を惹起する(1)電離放射線(2)紫外線および(3)化学療法剤の刺激に対し、15-LOXのa)mRNAレベルb)蛋白質レベルc)15-LOXによる代謝産物である15-HRETE並びに15(s)-HETEの変化を解析し、DNA障害と15-LOX活性化との相関を調べることに目標を置いた。15-リポキシゲナーゼの白血病細胞における蛋白発現を調べている過程で、我々は〜23kDaの蛋白質がX線や紫外線の照射後数時間以内に発現上昇してくることを見い出した。この蛋白はHL60細胞では放射線照射後約3時間後までに、U937細胞では照射後6時間後までに発現誘導された。また、15-リポキシゲナーゼの別のエピトープを認識する抗体ではこの蛋白の発現が検出できないことなどから、15-リポキシゲナーゼとは別の蛋白である可能性が高いと考えた。現在我々はこの蛋白質の同定と機能解析を進めているが、現時点までに知り得た情報は以下の如くである。 1)少なくともU937、ならびにHL-60でX線、あるいは紫外線照射後6時間以内にこの蛋白質は発現誘導されること。 2)TOF-MAS解析により、この蛋白質はセリン/スレオニンキナーゼとしてのアミノ酸配列を有していること。 今後、RT-PCR法などを用いてこの未知の蛋白質の同定を進めていく予定である。
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