2001 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界二酸化炭素中で有効に機能する界面活性剤型分子の設計
Project/Area Number |
13877363
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 修 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (50195781)
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Keywords | 臨界二酸化炭素 / 界面活性剤型 / ポリオエチレングリゴール誘導体 / 希土類金属トリフラート / マンニッヒ反応 / アルドール反応 / フリーデル・クラフツアルキル化反応 |
Research Abstract |
医薬品を始めとする高付加価値化成品の化学合成において有機溶媒の使用は必須であるが、有害性、発火性のみならず環境汚染の問題が指摘されている近年、有機溶媒を用いない化学合成プロセスの開発は急務である。有機溶媒に替わる安全かつクリーンな溶媒として、回収、再利用の可能な超臨界二酸化炭素が考えられるが、反応に供する基質が溶解しにくいため用いることのできる反応が限定されるいう問題があった。これに対して申請者らは、新規に界面活性剤型分子を設計、合成し、これを用いることにより、超臨界二酸化炭素中に様々な反応に適用可能な新しい反応場を構築することで上記問題の解決を図ることを考えた。以下に得られた成果をまとめる。 1.超臨界二酸化炭素中で有効に機能する界面活性剤型分子として、ポリエチレングリコール誘導体を見出した。ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールメチルエーテル体存在下、超臨界二酸化炭素中、希土類金属トリフラートを用いるマンニッヒ反応およびアルドール反応が円滑に進行し、対応する付加体が高収率をもって得られることを明らかにした。また、反応系中を詳細に観察することにより、ポリエチレングリコール誘導体を加えない場合は反応系が不均一なのに対して、ポリエチレングリコール誘導体を加えた場合は反応系がエマルション様になっていることが確認され、ポリエチレングリコール誘導体の界面活性剤としての働きを明らかにした。 2.超臨界二酸化炭素中で有効に機能する新規な界面活性剤型分子として、1-ドデシルオキシー4-パーフルオロペンゼンを設計、合成した。また、これを用いるアルドール反応、フリーデル・クラフツアルキル化反応を開発することができた。ここでも反応系はエマルション様になっていることが確認され、界面活性剤型分子によって超臨界二酸化炭素中で有効反応場が形成されていることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] I.Komoto: "Lewis Acid Catalysis in a Supercritical Carbon Dioxide (scCO_2)-Poly (ethylene glycol) Derivatives(PEGs) System : Remarkable Effect of PEGs as Additives on Reactivity of Ln(OTf)_3-catalyzed Mannich and Aldol Reactions in scCO_2"Chem. Commun.. 2001. 1842-1843 (2001)
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[Publications] I.Komoto: "1-Dodecyloxy-4-Perfluoroalkylbenzene as a Novel Efficient Additive in Aldol Reactions and Friedel-Crafts Alkylation in Supercritical Carbon Dioxide"Org. Lett.. (In press).