2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13877364
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
落合 正仁 徳島大学, 薬学部, 教授 (50127065)
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Keywords | 超原子価化合物 / 有機ヨウ素化合物 / 求核置換反応 / SN2反応 / アルケニウヨーダン |
Research Abstract |
炭素求核試剤を用いた、立体化学の反転を伴うビニル位炭素原子上でのS_N2型求核置換反応を開発するため、β位にアルキル基を導入した(E)-ビニル-λ^3-ヨーダンにシリルエノールエーテルを反応させた。室温で反応は起らなかったが、50度に加熱すると求核置換反応が進行した。ところが生成物は期待したβ,γ-不飽和ケトンではなく、共役不飽和ケトンが得られた。加熱により異性化が進行したと考えられる。 我々は(E)-ビニル-λ^3-ヨーダンにハロゲン陰イオンやアミドなどの求核試剤を作用させると、ビニル位炭素上でのS_N2反応が進行して、(Z)-オレフィンが立体選択的に生成することを報告している。一方、(Z)-ビニル-λ^3-ヨーダンを用いた場合には、anti-β-脱離が優先し、目的とするビニル位S_N2反応は全く進行しない。ところが、今回著者はエチニル-λ3-ヨーダンから合成した(Z)-β-ベンゾイルオキシビニル-λ^3-ヨーダンとn-Bu_4NX(X=Cl, Br, I)との反応を検討したところ、ビニル位炭素上でのS_N2反応が進行することを見出した。(Z)体ビニル-λ^3-ヨーダンでの初めてのS_N2反応である。 (Z)-β-ベンゾイルオキシビニル-λ^3-ヨーダンに大過剰のn-Bu4NXをTHF中65℃で作用させると、ビニル位でのS_N2反応が専ら進行し、立体化学が反転した(E)-臭化ビニルが定量的に得られた。anti-β-脱離は全く進行しない。ところが、n-Bu4NXの濃度を減少させると、配位子結合反応(ligand coupling)が競争反応となり、(Z)-臭化ビニルや(Z)-ヨウ化ビニルも生成するようになることを見出した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Roel Gronheid: "Thermal and Photochemical Solvolysis of (E)-and(Z)-2-Phenyl-1-propenyl(phenyl)-iodonium Tetrafluoroborate : Benzenium and Primary Vinylic Cation Intermediates"J. Am. Chem. Soc.. 123・36. 8760-8765 (2001)
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[Publications] Sueda Takuya: "Oxidative Ring Cleavage of Cyclic Acetals with Hypervalent tert-Butylperoxy-λ3-iodanes"Org. Lett. 3・15. 2387-2390 (2001)
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[Publications] Ochiai Masahito: "Stereoselective Synthesis of (Z)-Enethiols and Their Derivatives : Vinylic SN2 Reaction of (E)-Alkenyl(phenyl)-λ3-iodanes with Thioamides"Org. Lett. 3・17. 2753-2756 (2001)