2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13877372
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
今中 常雄 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (50119559)
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Keywords | 小胞体 / アンチトロンビン欠乏症 / タンパク質フォールディング / Russell body / プロテアソーム / 小胞体ストレス / アグリソーム / ジスルフィド結合 |
Research Abstract |
先天性アンチトロンビン(AT)欠乏症において、変異型AT(AT Morioka, Cys95Arg)が、細胞質中に出現するRussell body様構造体に蓄積していることを発見した。本研究では、変異型ATの蓄積機構、蓄積に伴うストレス情報を解析し、以下の新たな知見を得た。 1.AT(Cys95Arg)を安定発現しているCHO細胞を用い、細胞内に蓄積している変異ATの特性を解析した。その結果、変異ATはhigh mannose型であること、約半数の分子がジスルフイド結合を介してダイマーを形成していることが明らかになった。また各種小胞体シャペロンとの共沈実験により、変異ATの一部はGRP78と結合していることが示唆された。変異ATのダイマー形成、GRP78との結合が、変異ATを小胞体に留め、Russell body様構造体の形成を導くと推定される。 2.ジスルフィド結合異常とAT蓄積の関連性を解析するため、3つの分子内ジスルフィド結合を担うCys(8-128、21-95、247-430)の各々をArgに置換したAT、ペアーの両CysをArgに置換したATを安定発現するCHO細胞を作製した。各変異ATの細胞内動態をpulse-chaseとimmunoblottingで解析した。その結果、1個のCys変異ATは、AT Morioka(Cys95Arg)同様、細胞外への分泌速度が低下し、かつ細胞内での分解を受けず蓄積した。一方、2個のCys変異ATは、生合成後1時間以内に約50%以上のATが分解された。一方、分解を免れたATは、1個のCys変異ATより速く分泌された。AT分子内に1個の遊離Cysが存在することが、ダイマー形成をもたらし、ダイマー形成がAT蓄積の一因であることが強く示唆された。 3.変異AT蓄積に伴う小胞体ストレスを小胞体シャペロン誘導の観点から解析した。野生型ならびに変異AT(Cys95Arg)発現CHO細胞における各種小胞体シャペロン量を、対照CHO細胞と比較した。その結果、変異型AT発現により、GRP78が4倍、ERp72、GRP94が約2倍増加していた。細胞内における変異ATは、小胞体にストレスを負荷していることが明らかになった。 次年度はRussell body様構造体の形成機構、小胞体ストレスシグナルについて解析を進めたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ito, R.et al.: "Temperature-sensitive phenotype of chinese hamster ovary cells defective in pex5 gene"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 282・2. 321-327 (2001)
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[Publications] Hashiguchi, N.et al.: "Peroxisomes are formed from complex membrane structures in PEX6-deficient CHO cells upon genetic complementation"Mol. Biol. Cell. 13・2. 711-722 (2002)