2001 Fiscal Year Annual Research Report
抗多剤耐性マラリア薬の開発研究;原虫ミトコンドリアを標的とする新戦略
Project/Area Number |
13877378
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井原 正隆 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00006339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高須 清誠 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (10302168)
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Keywords | 抗マラリア薬 / ロダシアニン色素 / 構造活性相関 / オルガネラ特異的 / 誘導体合成 / コンビナトリアル合成 / アフィニティ標識化合物 / ケミカルバイオロジー |
Research Abstract |
以前、我々はロダシアニン色素化合物に優れた抗マラリア活性があることを明らかにした。それを基盤に、(1)さらに有効な抗マラリア薬の開発および改良、(2)その薬理作用メカニズムの分子生物学的な解明について検討した。 (1)ロダシアニン色素はチアゾール環、ロダニン環、ピリジニウム環から構成されるが、それら3要素について液相でのコンビナトリアル合成を行った。ここでは再結晶・ろ過のみで純品の化合物をえることができ、固相担持やLC精製などの必要ない新手法を考案できた。また、それによって構築したライブラリーについてin vitroで抗マラリア活性評価を行った。その結果、EC_<50>=12nM, selectivity=1000の薬効を持つMKH-57が見つかった。本化合物はin vivoにおいてもED_<50>=20mg/kg(i.p.)と非常に有望な結果を示した。また、構造活性相関研究より、各置換基部及び全体の脂(水)溶性のバランスが薬理効果に与える影響について細かな知見を得ることができた。 (2)ロダシアニン色素は特異な蛍光を有しており、感染赤血球ないでの色素の動態を顕微鏡観察により追跡することができた。その結果、本化合物はマラリア原虫の核及び食胞以外のオルガネラに特異的に集積していることがわかった。形態学的に見てミトコンドリアかアピコプラストのどちらかと推測された。ロダシアニンを基盤とするアフィニティ標識化合物ならびにアフィニティゲルカラムを用意して、ネズミマラリア原虫の生体高分子との相互作用を調べた。その結果、数種の原虫タンパクが高い親和性を示すことが明らかになった。現在、それらのタンパクが単離できたので、同定を行っているところである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 高須清誠, 井原正隆 他5名: "Rhodacyanine dyes as antimalarials. 1. Preliminary evaluation of their activity and toxicity"Journal of Medicinal Chemistry. 45(5). 995-998 (2002)
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[Publications] 高須清誠, 井原正隆 他5名: "synthesis of novel artemisinin analogue having potent antimalarial activity"Heterocycles. 54(2). 607-610 (2001)
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[Publications] 井原正隆 他7名: "Antimalarial and cytotoxic activities of bicycle[6.4.0]dodecanones"Chemical & Pharmaceutical Bulletin. 49(5). 572-575 (2001)
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[Publications] 高須清誠, 上野恵, 井原正隆: "Facile and stereoselective access to nonracemic trycclic cyclobutanes by asymmetric intramolecular Michael-aldol reaction"Journal of the Organic Chemistry. 66(13). 4667-4672 (2001)
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[Publications] 井原正隆, 豊田真弘, 小森知世: "Three step total synthesis of pyrroloquinoline alkaloid, luotonin A, by intramolecular hetero Diels-Alder reaction"Heterocycles. 56(1-2). 101-103 (2002)
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[Publications] 高須清誠, 見澤慶子, 井原正隆: "Asymmetric synthesis of tricyclic-cyclobutane by means of enantioselective deprotonation and intramolecular Michael-aldol reaction"Tetrahedron Letters. 42(48). 8489-8491 (2001)