2001 Fiscal Year Annual Research Report
物理刺激と生物学的分子認識の統合による高効率・細胞選択的遺伝子デリバリー
Project/Area Number |
13877396
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋田 充 京都大学, 薬学研究科, 教授 (20135594)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 元也 京都大学, 薬学研究科, 助手 (40273437)
|
Keywords | 遺伝子治療 / 非ウイルスベクター / 体内動態 / エレクトロポレーション / レセプター介在性エンドサイトーシス / ポリイオンコンプレックス |
Research Abstract |
プラスミドDNAの全身動態ならびに細胞内動態は、プラスミドDNA/キャリア複合体に適当な物理化学的・生物学的特性を賦与することにより制御可能である。我々はこれまでに、構造中に糖を導入した高分子性および微粒子性キャリアを設計し、肝細胞あるいは肝血管内皮細胞・Kupffer細胞を対象とした細胞選択的遺伝子発現システムの開発に成功してきた。しかしながら発現効率は他の非ウイルス型キャリアシステム同様低く、標的細胞へ到達後のプラスミドDNAの分解が問題であると考えられた。一方、DNAを局所投与後に電気パルスを与えた場合にはプラスミドDNA単独投与により場合によってはウイルスベクターに匹敵するほどの高効率な遺伝子発現が得られている。これは、電気刺激により細胞膜の物質透過性が上昇し、プラスミドDNAが直接細胞質内へ移行するためと考えられるが、遺伝子導入の対象をコントロールすることが困難であり、対象組織全体への遺伝子導入、あるいは標的細胞への選択的導入などは達成されていない。そこで本研究では、細胞選択的遺伝子デリバリーのための化学的アプローチとしてガラクトースあるいはマンノースを導入した高分子性ならびに微粒子性キャリアを用いて遺伝子デリバリーを行い、標的細胞到達後の遺伝子発現を電気パルス(エレクトロポレーション法)により改善することを試みた。通常の条件下では、naked DNAの門脈内投与では肝臓での有意な遺伝子発現は認められないが、投与直後に電気パルス(250mV/cm、5msec、12パルス、4Hz)を肝臓に加えることにより遺伝子発現が大幅に増大した。従って、エレクトロポレーション法が、局所投与されたDNAに対してだけでなく血管内に投与されたDNAに対してもその肝細胞内へのデリバリーを促進することが明らかとなった。しかしながら、投与後5分の時点で同じ条件の電気パルスを与えた場合には遺伝子発現レベルは1オーダー低く、Kupffer細胞などによる取り込みあるいは血中での分解等によるDNAの消失によるものと推察された。肝細胞への選択的なキャリアであるガラクトース修飾ポリ-L-リジン(Gal-PLL)との複合体の投与時にもエレクトロポレーションによる遺伝子発現の改善が認められた。この場合には、投与5分後に電気パルスを与えた場合にも発現が増強する傾向があり、Gal-PLLによりDNAが肝細胞へ送達され、そこで電気パルスにより細胞質内への放出が促進されたものと思われる。今後、キャリアの物理化学的性質、電気パルスの強度・タイミング等の最適化を行い、高効率で細胞選択的な遺伝子導入法の確立を目指す。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] F.Sakurai et al.: "Interaction between DNA-cationic liposome complexes and erythrocytes is an important factor in systemic gene transfer via the intravenous route in mice : the role of the neutral helper lipid"Gene Ther.. 8(9). 677-686 (2001)
-
[Publications] A.Sato et al.: "Enhanced gene transfection in macrophages using mannosylated cationic liposome-polyethylenimine-plasmid DNA complexes"J. Drug Target.. 9(3). 201-207 (2001)
-
[Publications] M.Nishikawa et al.: "Hepatocyte-targeted in vivo gene expression by intravenous injection of plasmid DNA complexed with synthetic multi-functional gene delivery system"Gene Ther.. 7(7). 548-555 (2000)
-
[Publications] S.Kawakami et al.: "Mannose receptor-mediated gene transfer into macrophages using novel mannosylated cationic liposomes"Gene Ther.. 7(4). 292-299 (2000)