Research Abstract |
I 文献検索 看護倫理についての海外と日本の文献を収集し,これまでの流れと最近の争点を整理した.また,精神科看護者の倫理的判断と意思決定に影響すると思われる,看護者のストレス状況について,心理学・社会学の視点から論じられている文献を,合わせて検討した. その結果,成果が形に表れにくいとされる看護の性質から,「ケアの倫理」に看護の独自性を見いだそうとする動きとその反論が,最近の看護倫理の争点であること,看護者が「倫理的問題」と認識するものが,かなり狭い範囲に限られていること,逆に問題視しないものの中に,倫理的問題がありそうなこと,看護者の「無力感」「自責感」が,倫理的問題,ストレス,悩みに仕通した感情であることなどが明らかになった. II 精神科看護者の仕事上のストレス・悩みに関する調査(第1次調査)(分析中) 1)目的:精神科臨床で働く看護者が,日常ストレスと感じていることについて知り,文献と照らし合わせて整理し,倫理的意思決定との関連や影響する要因について考察する. 2)対象・方法:現在精神科臨床で働く看護者に調査協力を依頼し,非構成的面接を行って,日頃,仕事上のストレス・悩みと感じていることについて自由に話してもらう.許可を得て,テープ録音を行う. 3)結果:N県内3施設の精神科臨床で働く看護者34名.面接時間1145分(平均34分/回).テープの逐語録(32名)と聞き取りメモ(2名)を,現在分析中である.仕事上のストレス・悩みと感じている内容は,対患者,職場の人間関係(上司,同僚,部下,他職種の医療者),組織(病院の方針や法的な規制)と多岐にわたっていた.「ストレス」「悩み」とは感じていても,それが倫理的問題であるとの意識は,全体に希薄であった.
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