2001 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞移植後患者のQOL評価指標作成と看護援助プログラムの開発
Project/Area Number |
13877432
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
外崎 明子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (20317621)
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Keywords | 造血幹細胞移植 / 看護 / QOL / 看護プログラム開発 / 評価研究 |
Research Abstract |
本研究は造血幹細胞移植(以下、移植と略す)後の患者が治療による心身の機能低下の回復をはかりながら社会復帰をめざすプロセスに焦点をあて、QOLの向上を目的とした看護援助プログラムを開発しその評価を行うことを目的とするものである。この中で初年度である本年度は対象患者へのインタビュー、外来診療録調査、医療者との協議、また国内外の文献検討より移植後患者のQOL低下要因とその評価指標の探索を行った。 この結果QOL低下要因は原疾患の再発、慢性GVHD,薬剤の副作用、倦怠感、体力喪失感などの主に身体的問題、再発への恐怖や先の見えない不確かさ、抑うつ、自尊感情の低下、希死念慮などの心理的問題、社会的・家庭的役割遂行の困難や経済的困窮などの社会的問題、生き続ける意義や意味に関する疑問や迷いなどのスピリチュアルな問題など多数の要素があげられた。これらの中で倦怠感・体力喪失感は移植後大多数の患者が訴え、心理・社会・スピリチュアルな面への問題の誘因となっていたが、実施した診療録調査の結果では、移植後1年の時点で血液生化学データ上の低栄養状態は数%に認められるのみであった。しかしながら患者インタビューや医療者との協議の中で、無菌室退室後以降下肢筋力の低下、ふらつき感により他の身体症状に問題がなくとも倦怠感が遷延する例が多く認められ、無菌室や無菌病棟内という狭い空間内で長期間生活することが下肢筋肉量および筋力を急速に低下させ、倦怠感や体力喪失感を起こす一因であることが推測された。これらより次年度は移植治療による長期間の歩行運動量低下がもたらす下肢筋肉量および筋力の変化を計測し、このことが移植後の患者のQOLに与える影響を検討していく。また下肢筋肉量等の維持を目的とする運動療法プログラムの開発を計画中である。
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