2002 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞移植後患者のQOL評価指標作成と看護援助プログラムの開発
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13877432
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
外崎 明子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (20317621)
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Keywords | 造血幹細胞移植 / 看護 / QOL / 下肢筋力 / 筋力測定 / 倦怠感 / 歩行数 / リハビリテーション |
Research Abstract |
本研究は造血幹細胞移植後患者のQOLの向上をはかることを目的としている。昨年度の結果より無菌室等の狭い空間で数ヶ月間生活することで下肢の筋力が著しく低下し、これにより長期にわたり倦怠感や体力喪失感を起こす一因になると考えられた。そこで今年度は無菌室入室前より退院後3ヶ月間、下肢筋力およびQOL等について継続的評価を実施した。評価指標は看護独自の判断で実施可能であり患者に対して非侵襲的な測定方法であることを選択基準とし、下肢筋力の指標として膝伸展力、足底屈力および足背屈力を、下肢筋肉量の指標として大腿部筋断面積を算出し、測定用具はHand-held dynamometer(OG技研社製)、栄研式皮下脂肪厚計と巻尺を使用した。さらに万歩計を装着し連日歩数記録を行い、また既存の尺度によりがん患者に特異的なQOLおよび倦怠感の程度さらに不安状況を測定した。 実施施設での倫理審査を経て、現在までに13名の血液悪性疾患の成人患者に研究依頼を行い、11名より研究参加承諾を獲得し、10名が継続評価を実施中である。1名は状態悪化により測定不可能となった。現時点では無菌室入室前〜退院後まで継続測定した者はなく、無菌室入室による下肢筋力の低下とその回復の全過程評価のために次年度もさらに測定を継続し、例数を重ねていく予定である。しかし今年度の調査結果より、下肢筋力・筋肉量四指標のうち足関節筋力である底屈および背屈力は入院期間中の低下が著しく、退院後の患者では入院中の同期間に比べて回復速度が早いこと。日々の歩数記録は不安レベル、倦怠感尺度得点と逆相関する傾向にあることが、例数が少ないため統計処理はできないが示唆されている。今後は例数を増やし筋力、歩行数の推移とQOL得点との関連性を検討すること、筋力の経時的変化パターンをもとに効果的なリハビリテーション・プログラムを開発することをめざす。
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