2002 Fiscal Year Annual Research Report
副読本の教科教育学的研究を中心とした地域学習の展開に関する研究
Project/Area Number |
13878045
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
伊藤 裕康 香川大学, 教育学部, 助教授 (70279074)
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Keywords | 社会科副読本 / 学区単位の副読本 / 聞き取り調査 / 社会科研究部 / 現職教育 / 教師集団による学区調査 |
Research Abstract |
平成14年度は豊橋市での学校単位の副読本発行状況の把握と同副読本の収集・保存に努めた。愛知県以外に副読本の調査・収集を行い,学習用として学校独自の副読本を発行する地域は今のところ愛媛県松山市とその近隣で認められるのみで,豊橋市は全国でも先進地域であることが判明した。 平成13年度は,豊橋市の戦前の郷土教育経験が学校独自の副読本発行の機運を支えていると考えた。平成14年度はこの仮説の当否に関する知見は未だ得られなかったが,調査・研究を進め他の要因として,同市小学校社会科研究部の活動と現職教育(校内研修)の一環としての教師集団による学区調査経験が挙げられることが分かった。同市社会科研究部は市全体を対象とした副読本を編集し,副読本に準拠した年間指導計画と実践事例集を継続発行している。同市社会科研究部編集の副読本が学校独自の副読本のモデルとなっている。同部会での学校独自の副読本発行に関する情報交換が,独自の副読本を未発行の学校に所属する部会員への刺激となり,新たに学校単位の副読本を発行するといった機運が一時期あったことが,聞き取り調査で判明した。現職教育(校内研修)としての教師集団による学区調査も,学区単位の副読本発行に一役かっていることも聞き取り調査より判明した。 今後は,1.豊橋市の副読本のデータベースの作成,2.豊橋市の副読本の編集・活用の展開過程の解明,3.今一つの事例地域である高浜市の副読本の編集・活用の展開過程の解明,をしていきたい。平成14年度は松井貞雄の副読本編集に関する個人史研究自体に進展は無かったが,研究の副産物として,社会科教師のカリキュラムづくりに関する力量形成に副読本執筆経験が大きく与っているという教師教育学上の新知見が得られた。
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