2001 Fiscal Year Annual Research Report
時系列セミパラメトリックモデルに対する高次漸近理論
Project/Area Number |
13878051
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 正信 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (00116625)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 昌司 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (00273615)
白旗 慎吾 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (10037294)
稲垣 宣生 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (10000184)
熊谷 悦生 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (20273617)
安芸 重雄 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (90132696)
|
Keywords | 時系列解析 / 高次漸近理論 / セミパラメトリック推定 / ARCHモデル / ロバストネス / 最小コントラスト推定 / 条件付最小2乗推定 / 最尤法 |
Research Abstract |
まず本研究の基礎として統計的漸近理論、時系列解析、およびノンパラメトリック統計学の基礎知識を整理した。主な研究実績としては、定常過程のスペクトル密度関数gの推定で、これに母数型スペクトル密度関数を、ある距離Dで適合することを考えた。もちろんgは未知なので、これにノンパラメトリックな推定量を代入したDを未知母数に関して最小化することによって得られる推定量を最小コントラスト推定量と呼ぶことにしてこの推定量の漸近的性質を調べ以下の結果を得た。 (1)最小コントラスト推定量は極めて緩い正則条件下で漸近有効であり、距離Dの構成の仕方は無限にあり、従って、無限個の漸近有効な最小コントラスト推定量が構成できる。 (2)通常、最尤推定量も適当な条件下で漸近有効となるが、自己回帰モデルをのぞいては、実際にこれを計算する場合、ニュートンラプソン法等の繰り返し法が必要となるが、この最小コントラスト推定量は、距離Dを、選べば繰り返し法を使わなくても明示的な漸近有効推定量が構成可能である。 以上のことより、本研究では、この最小コントラスト推定量のさらに高次の漸近的性質を調べ以下を得た。 (1)バイアス調整した最小コントラスト推定量は2次漸近有効とは限らない。つまりこのようなセミパラメトリックな推定法では、通常のパラメトリックな推定法で知られている現象; (2)バイアス調整したパラメトリックな1次漸近有効な推定量は自動的に2次漸近有効になるが否定される。このことはパラメトリック推定とセミパラメトリック推定の興味ある差異とおもわれる。これらの諸結果は2001年の6月に京都大学で開催された日米時系列セミナーで発表し、日米双方の時系列の研究者から種々のインパクトをいただいた。 また、近年、とくに金融時系列の分野でARCHモデルが種々の場面で現れてきている。そこで別の研究として、ARCHモデルのボラティリテイーの未知母数を条件付最小2乗法で求め、これからARCH残差系列を作り、これに基づいて、ARCH残差分布の未知母数を、上述の最小コントラスト推定法で推定することを試みた。ARCHモデルでは通常のAR, ARMAモデルと異なってボラテェリティーの条件付最小2乗推定量のasymptoticsが最小コントラスト推定量のasymptoticsに影響をおよぼすことがわかった。 またこの最小コントラスト推定量の残差分布がずれた場合のロバストネスもしらべた。さらに条件付最小2乗推定量が最小コントラスト推定量に及ぼす影響を計算機をもちいて数値的にもしらべた。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Sakiyama, K., Taniguchi, M.: "Testing composite hypotheses for locally stationary processes"Journal of Time Series Analysis. (in press). (2002)
-
[Publications] Sakiyama, K., Taniguchi, M., Puri, M.L.: "Asymptotics of tests for a unit root in autoregressing"Journal of Statistical Planning and Inference. (in press). (2002)
-
[Publications] Taniguchi, M.: "On large deviation asymptotics of some tests in time series analysis"Journal of Statistical Planning and Inference. 97. 191-200 (2001)
-
[Publications] Choi, I.B., Taniguchi, M.: "Misspecified prediction for time series"Journal of Forecasting. 20. 543-564 (2001)
-
[Publications] Chandra, A., Taniguchi, M.: "Estimating functions for nonlinear time series models"Annals of the Institute of Statistical Mathematics. 53. 125-141 (2001)
-
[Publications] Shiohama, T., Taniguchi, M.: "Sequential estimation for a functional of the spectral density of a Gaussian stationary process"Annals of the Institute of Statistical Mathematics. 53. 142-158 (2001)
-
[Publications] 谷口 正信, (共著者 竹村 彰通): "統計学の基礎II"岩波書店(出版予定). (2002)