2001 Fiscal Year Annual Research Report
海洋植物プランクトンから環境ストレス指標としての分子シャペロンを検出する試み
Project/Area Number |
13878097
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田上 英一郎 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50133129)
|
Keywords | 植物プランクトン / 環境ストレス / 分子シャペロン / 熱ショックタンパク質 / 海洋 / タンパク質 / 懸濁態有機物 / ストレスタンパク質 |
Research Abstract |
本研究では海洋表層中に生息する植物プランクトンから環境ストレス指標としての分子シャペロンを検出する事を試みた。海洋表層懸濁物中に存在するタンパク質を二次元電気泳動法により分離し、各タンパク質についてアミノ酸配列を決定した。その結果、懸濁態タンパク質の1つが、分子シャペロンの一種である70Da-熱ショックタンパク質である事を発見した。そこで、この分子シャペロンの起源および海洋において発現を誘導する環境因子を明らかにし、さらには海洋環境の変化に対する海洋生物群集の応答を分子レベルで解析する方向で研究を推進した。その結果、現在までに以下の観測的事実が明らかになっている。 1)亜熱帯海域では一年中70kDa-ストレスタンパク質が発現している。 2)北部北太平洋では春のブルーム直後に70kDa-ストレスタンパク質が発現しているが、その約2ヶ月後には発現していない。 3)夏期ベーリング海およびアラスカ湾においては発現していない。 4)赤道(11月)においても発現していない。 以上の知見をもとに、今年度得られた南半球の海洋表層懸濁物から70kDa-ストレスタンパク質の検出を試み、太平洋全域における70kDa-ストレスタンパク質の分布を明らかにする。さらに同時に得られている水温・塩分・栄養塩および植物プランクトン組成など物理・化学および生物的パラメーターと比較することにより、70kDa-ストレスタンパク質を誘導している起源生物および環境因子を明らかにする予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Volkman, J and E.Tanoue: "Chemical and biological studies of particulate organic matter in the ocean"Journal of Oceanography. 58. 265-279 (2002)
-
[Publications] Hamanaka, J., E.Tanoue, T.Hama and N.Handa: "Production and export of particulate fatty acids, carbohydrates and combined amino acids in the euphotic zone"Marine Chemistry. 77. 55-69 (2002)
-
[Publications] Wu, F. and E.Tanoue: "Tryptophan in sediments of dissolved lake from southwestern china plateau"Chemical Geology. 184. 139-149 (2002)
-
[Publications] Wu, F. and E.Tanoue: "Geochemical characterization of organic ligands for copper(II) in different molecular size fractions in Lake Biwa, Japan"Organic Geochemistry. 32. 1311-1318 (2001)
-
[Publications] Hirose, K. and E.Tanoue: "The strong ligands for thorium complexation in marine bacteria"Marine Environmental Research. 51. 95-112 (2001)
-
[Publications] Obayashi, Y, E.Tanoue, K.Suzuki, N.Handa, Y.Nojiri and C.S.Wong: "Spatial and temporal variabilities of phytoplankton community structure in the northern North Pacific as determined by phytoplankton pigments"Deep-Sea Research. 82. 439-469 (2001)