2001 Fiscal Year Annual Research Report
環境負荷が大きい溶媒を必要としない電気化学法の開発
Project/Area Number |
13878114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
小倉 薫 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (10249849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅谷 重夫 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80160315)
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Keywords | 電気化学 / 支持電解質 / 無極性溶媒 / アルカン中の電気化学 / イオン対生成 / 電導度 / 四級アンモニウム / テトラアリルホウ酸 |
Research Abstract |
有機溶媒中の電気化学において用いられる支持電解質の溶解能・解離能が大きい極性溶媒の殆どが分子内にハロゲンや窒素を含んでおり、環境への負荷の観点から好ましくない。本研究の目的は環境負荷が小さい炭化水素類を溶媒とすることが出来る電解法を開発することにある。研究計画は無極性溶媒中の支持電解質の確立(H13)及び開発した電解質を用いる無極性溶媒中の新しい電解系の開発(H14)を予定している。この計画に従って本年度は各種の有機電解質を合成し、アルカンの一つであるシクロヘキサン中の電導度測定を行い、電導性を決定するイオン間相互作用の支配要因を明らかにした。 1.陰イオンの置換基効果:テトラ(デシル)アンモニウムを陽イオンとし、テトラアリルホウ酸イオンの芳香環に各種の置換基を導入した電解質を合成した。15種類の合成に成功し、溶解性及び溶液の電導度から電解質イオン設計に関して次のような指標を導いた。(1)対称な芳香環を持つテトラアリルホウ酸では、置換基効果は分子表面で水素原子が占める面積の変化による。(2)非対称な芳香環を導入した場合、芳香環内にB-C結合軸とは非対称な双極子が生じる。イオン対生成に際し、そのような双極子の存在は芳香環の回転により陽電荷-双極子相互作用をもたらすためにイオン間相互作用が強くなり、溶解性や電導度の低下をもたらす。以上の様な検討に基づき、無極性溶媒中の支持電解質陰イオンとして最適なものを決定した。 2.陽イオンの効果:上記の検討によりアルカン中の支持電解質陰イオンとして最も有望なテトラアリルホウ酸を用い陽イオンの効果を調べたところ、直鎖アルキル四級アンモニウムイオンが最も有効であった。そこで、アルキル鎖の炭素数が異なる直鎖アルキル四級アンモニウムイオンとの塩を調製し、アルキル鎖の炭素数が溶液の電導度に与える影響を明らかにした。
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Research Products
(1 results)