2001 Fiscal Year Annual Research Report
コンビナトリアル的手法によるグリコシダーゼの基質特異性の迅速決定法
Project/Area Number |
13878118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂田 完三 京都大学, 化学研究所, 教授 (20087563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 文一 京都大学, 化学研究所, 助手 (50324695)
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80199075)
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Keywords | グリコシダーゼ / コンビナトリアル / 基質ライブラリー / 基質特異性 / アグリコンライブラリー / グルコシダーゼ |
Research Abstract |
本研究では、コンビナトリアル的手法により、種々のアグリコンを有する配糖体からなる基質ライブラリーを混合物のまま各種グリコシダーゼに作用させ、遊離するアグリコン(アルコール)をGC-MS等で経時的に追跡・定量することにより、混合物のままで挙に、酵素のアグリコン部分に対する基質特異性を明らかにする、画期的な新手法を開発することを目指して以下の成果を得た。 (1)基質ライブラリーの調製:本年度は予備的検討として、(1)脂溶性の高い低分子アルコール類に注目して、ターゲット酵素(βグルコシダーゼ)の基質となる配糖体の基質ライブラリーを次のようにして調製した。グリコシル化反応の最適条件を検討した結果、市販のpentaacetyl β-D-glucopyranosideをtrimethylsily triflate(TMSOTf)と-30℃で一昼夜程度反応させる方法が最適と判断した。脂溶性、かさ高さ、二重結合や芳香環の存在などを考慮し、(Z)-3-hexenol, decanol, cyclohexanol, benzyl alcohol,2-phenyl ethanolなどのアルコールを選び、これらのβ-D-グルコピラノシドを合成し、基質ライブラリーを得た。 (2)GC-MSによるアグリコンの定量法の確立:キャピラリーカラム(DB-5)を装着したGC-MS装置を用いて、定量条件を検討し、抽出溶媒をethyl acetate、内部標準としてnonaneを用いる方法を確立した。 (3)GC-MSを用いた試験法の確立:予備試験用の酵素として、二糖のcellobioseを良い基質とするAspergillus niger由来のβ-グルコンダーゼと、青酸配糖体を良い基質とし、基質特異性が広いと言われているアーモンド由来のβ-グルコシダーゼを用いた。クエン酸緩衝液(5.0mM)中、各基質を25mMの大過剰の濃度で各酵素(0.1Unit)と反応させ(2,4,6,8分)、各基質に対する初速度を求めた。一方、これらの基質を混合して作った「基質カクテル」を上記2種のβ-グルコシダーゼと反応させ、生成したアグリコンを定量し、各基質を単独で反応させたものと比較した。この場合の各アグリコンの生成量は減少するが各基質に対する初速度の比は単独で反応させた場合と酷似し、このコンビナトリアル的手法が適用できることを確認できた。しかも、予備的に設計し、合成した上記数種の基質からなる基質ライブリーを用いただけでも、上記2種のβ-グルコシダーゼの加水分解パターンにはっきりとした違いが認められ、この試験方法の有望性が示唆された。 (4)反応結果に基づく基質特異性の表示法の検討:我々は茶樹のβ-グルコシダーゼの精製を行っているので、これらを用いて上記試験を行い、モデルとして用いた上記2種のβ-グルコシダーゼの結果と比較した。現在ではまだ基質ライブラリーが確定していないので、各基質からのアグリコンの生成量をバーグラフとして表して比較する程度であるが、これら4種のβ-グルコシダーゼは異なった加水分解パターンを示し、このコンビナトリアル的手法によるグリコシダーゼの新しい分類法を確立できる可能性を強く示唆した。
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