2002 Fiscal Year Annual Research Report
ゲル中アニーリング法の開発によるタンパク質結晶のX線回折能の改善
Project/Area Number |
13878130
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邉 信久 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70212321)
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Keywords | タンパク質結晶 / アニーリング / ゲル |
Research Abstract |
本課題は,タンパク質結晶をアニーリングして結晶性すなわちX線回折能を改善するという新しい発想を実現することを目指した.本年度は2年計画の2年目として,研究実施計画に基づき以下の研究を実施した. 1.ゲルの種類と濃度等,結晶化手法の確立 アガロースゲルとシリカゲルに関しては,他の研究者による実施例の蓄積もあることから,本年度は,特に化学ゲルであるアクリルアミド系のゲルについて,各種モノマーと重合開始剤の組み合わせで結晶化用の環境としての使用可能性を検討した. その結果,アクリルアミドとメチレンビスアクリルアミドの系に沈殿剤NaClを用いた場合,標準タンパク質とした卵白リゾチームでは2mm程度の大きさの結晶を容易に得ることに成功した. 2.アニーリング手法と条件の確立 昨年度報告したように,結晶の融解温度が予想外に高く,当初計画していた昇温,降温によるアニーリングでは,使用するゲルの耐熱温度範囲外となってしまうため,結晶周辺の湿度を調節することでアニーリングする方法の検討を実施した.しかし,試料結晶周辺を閉鎖環境にすることが出来ないため,95%程度以上の相対湿度を安定して作成することに成功しなかった.パラフィンオイルで皮膜を作成する方法も検討したが,現在のところ成功していない. そのため,ガラスキャピラリー中にゲルとタンパク質溶液をあらかじめ封入しておき,沈殿剤の濃度勾配を作ることで,結晶性を最適化する手法の検討を開始した.
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