2001 Fiscal Year Annual Research Report
単一ミトコンドリアの時間分解計測による活性酸素発生抑制機構の研究
Project/Area Number |
13878131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
太田 善浩 東京農工大学, 工学部, 助教授 (10223843)
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Keywords | ミトコンドリア / 活性酸素 / Permeability Transition / 膜電位 / 電子伝達系 |
Research Abstract |
ミトコンドリアの電子伝達系にはプロトンポンプが含まれ、その働きは電子伝達と共役している。そのため、ミトコンドリア内膜が大きく分極するとプロトンポンプが行われず、電子が電子伝達系に停滞しやすい。この状況では、電子はシトクロム酸化酵素で還元されるより前に酸素に渡り、スーパーオキサイドを発生する確率が高い。従って内膜を脱分極させるメカニズムであるPermeability Transition(PT)は活性酸素の発生を抑制するメカニズムかもしれない。この考え方に基づき、単一ミトコンドリアで膜電位の経時変化を測る技術を用い、ミトコンドリアが呼吸中にPTを起こす頻度を測定した。豚心筋から単離したミトコンドリアをポリフェノール蛋白質で表面をコーティングしたカバーガラスに吸着させ、膜電位感受性蛍光色素TMRE(tetramethylrhodamine ethyl ester)で染色した。次に呼吸基質であるリンゴ酸をミトコンドリアに添加し、ミトコンドリアを分極させ膜電位の急激な変化頻度から単位時間あたりに生じるPTの頻度を求めた。その結果、添加するリンゴ酸の濃度を増やしたり、存在するATPの濃度を減らしたりして電子伝達系の還元状態を高めると、PTの頻度が増加することが認められた。次に、活性酸素の発生量を過酸化水素の定量で測定すると、PTによって還元状態を回避できる系では回避できない系と比べて多くの過酸化水素が発生していることが確認できた。以上のデータは、PTは活性酸素発生を抑制するメカニズムである可能性が示唆するものである。
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Research Products
(1 results)