2001 Fiscal Year Annual Research Report
樹状突起性膜蛋白テレンセファリンによる神経細胞と免疫細胞の相互作用
Project/Area Number |
13878164
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長尾 伯 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50281647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 正洋 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60313102)
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Keywords | テレンセファリン / 神経細胞 / 免疫細胞 / 神経細胞死 / 神経変性 |
Research Abstract |
神経系-免疫系の相互作用におけるテレンセファリン(TLCN)の役割を解析するために、本年度我々はまず培養細胞を用いたin vitroモデル系での解析を行った。また、それと平行して今後の実験に不可欠な抗TLCN抗体の作製や種々のリコンビナントTLCN発現系の準備を進めた。 神経芽細胞種由来の株化細胞であるNeuro2a(N2a)は、IL-2で活性化させたNatural Killer(NK)細胞であるLymphokine Activated Killer(LAK)細胞と共培養することにより細胞死が引き起こされる。そこで、TLCNの存在がLAK細胞により誘導されるN2aの細胞死に促進的・抑制的のいずれに作用するかについてTLCNの発現誘導可能なN2a株を用いて検討した。その結果、共培養開始後2時間の時点でTLCN発現N2aの場合では野生型を用いた場合に比べてTUNEL陽性N2aの割合が約2.5倍に増大し、TLCNの存在によりLAKのような細胞障害性を持つ免疫細胞によるapoptoticな細胞死が促進される可能性が示唆された。そこで、よりin vivoに近く豊富にTLCNを発現している海馬神経細胞の初代培養系をN2aのかわりに用いて同様の実験を行ったところ、神経細胞死に先立ち樹状突起やその表面に存在するmicro spikeの縮退・切断・断片化などの大規模な形態変化が観察された。N2a、海馬神経細胞、いずれの場合においても、LAK細胞がTLCN発現細胞上に接着している様子が観察され、経時的観察からは樹状突起や細胞体の上を動くLAK細胞やLAK細胞が突起を切断しているような様子が見いだされた。このように、本年度はTLCNによる神経細胞と免疫細胞の接着を介した神経変性の過程とその分子機構について解析するためのモデル系確立と基礎知識の取得ができ、詳細な解析に向けての準備が整った。
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