2001 Fiscal Year Annual Research Report
中枢同定ニューロンへの遺伝子操作による人為的行動修飾の研究
Project/Area Number |
13878170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長濱 辰文 神戸大学, 理学部, 助教授 (70145001)
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Keywords | アメフラシ / 遺伝子操作 / 人為的行動修飾 / Kチャンネル / ニューロン特性 / 過剰発現 / 摂食 / 介在ニューロン |
Research Abstract |
本研究の目的は、神経系が単純な軟体動物アメフラシを用い、摂食行動に関与する1個または数個のニューロンへ遺伝子を注入し特定のイオンチャンネル、受容体を過剰発現させる。この操作により神経回路網内の一部のニューロン特性やシナプス伝達効率を変化させ、それに伴う行動修飾を調べることから特定ニューロンおよび特定部位のシナプス伝達の役割を明確にしようとするものである。我々はすでに口の運動ニューロン群や運動パターン形成に関わるニューロン群を見い出している。また、アメフラシ中枢神経系の数種類のイオンチャンネルや伝達物質受容体のcDNAがすでにクローン化されている。そこで、これらcDNAを組み込んだ発現ベクターを作成し、これを同定ニューロンへ注入後、ニューロン特性、シナプス伝達効率の変化とそれに伴う行動修飾の様子を詳しく調べることにした。 本年度は、動物から単離した中枢(口球神経節)のみを用い、アメフラシニューロン発現ベクター(pNEX)に組み込んだKチャンネルcDNAを同定介在ニューロン(MA)へ注入し、ニューロン特性の変化を調べた。Kチャンネルとしてはアメフラシ由来の不活性化の早いakv1、または遅いakv5を過剰発現させた。その結果、いずれの場合も細胞内脱分極通電による発火頻度はコントロールに比べて非常に減少した。このMAニューロンは閉口運動ニューロンを単シナプス性に抑制し、運動ニューロンの発火パターン形成に重要なニューロンである。そこでMAニューロンにakv1タイプのKチャンネルを過剰発現させた後、神経刺激により疑似摂食パターンを誘発すると、MAニューロンの発火頻度は極端に減少し、閉口運動ニューロンの発火パターンも変化した。以上の結果、Kチャンネルの過剰発現により介在ニューロンの発火特性を大きく変えることができ、運動ニューロン出カパターンを調節できることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yoshida, R: "Calcium imaging for detection and estimation of spike activities in Aplysia neurons"Zoological Science. 18. 631-643 (2001)
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[Publications] Narusuye, K: "Neural mechanisms generating rejection of seaweed : taste responses of Aplysia CBM1 neuron and its modulatory function"Japanese Journal of Physiology. 51. S191 (2001)
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[Publications] Nagahama, T: "Neural mechanisms for modulation of Aplysia feeding behaviors"Japanese Journal of Physiology. 51. S20 (2001)
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[Publications] Yoshida, R: "Responses of cerebral C and G cluster neurons to taste of seaweeds in Aplysia kurodai"Comparative Biochemistry and Physiology. A130. 882 (2001)
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[Publications] Matsumoto, Y: "Taste learning appeared in the food preference behavior of Aplysia kurodai"Society for Neuroscience Abstract. 26. 2034 (2000)
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[Publications] Nagahama, T: "Synaptic modulation contributes to firing pattern generation in jaw motor neurons during rejection of seaweed in Aplysia kurodai"Journal of Neurophysiology. 82. 2579-2589 (1999)