生体透過snake photonの特性解明と利用のための基礎研究

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13878177
• Research Category: Grant-in-Aid for Exploratory Research
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 清水 孝一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30125322)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 北間 正崇 北海道工業大学, 工学部, 助教授 (50285516) ; 加藤 祐次 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50261582)
• Keywords: snake photon / 近軸散乱光 / 近赤外光 / 光散乱 / 生体透視 / 光CT / 光拡散 / 時間分解解析

Research Abstract

生体のような高濃度散乱体にコリメート光を入射した場合、2種類の透過光が得られることがわかってきた。すなわち一度も散乱を受けずに散乱体を通過した光(ballistic photon)と、前方散乱を繰り返しつつ入射光軸にまつわりつくように散乱体を通過した光(snake photon)である。このsnake photonの発見により、これまで不可能と考えられてきたいくつかの重要な応用に新たな可能性が開けるものと考えられる。ただし、snake photonの特性には不明の点(例えば、コヒーレンス性、散乱媒質中の進行速度など)が多く、その応用のためには多くの基礎的研究が待たれている。本研究は、未知の点の多いsnake photonに対し、その基礎的な特性を明らかにするとともに、その生体透視への応用ひいては光CT実現へ向けたbreakthroughの可能性を拓くことを目的とする。
本年度は主として「高濃度散乱体におけるsnake photonの理論的解析」と「生体に近い散乱体溶液を用いたsnake photonの実験的解析」を行った。まず、光の波動伝搬特性を考慮した拡散近似を輸送方程式に適用して、snake photonの波動特性およびエネルギー伝搬特性を理論的に解析した。実験では、散乱体試料として、散乱吸収特性が既知で生体組織の光学パラメータとの関係が明らかなIntralipid水溶液を用いた。実験システムを設計・製作し、snake photonの特性を実験的に解析した。
これらの結果、輸送方程式に微小角近似を適用して、散乱体の光伝搬を表現する理論式および解析解を得た。またファントム実験では、これまでほとんど未知であった単一散乱から拡散への移行領域における光伝搬特性のいくつかを明らかにした。これらの知見をもとに、snake photonの効率的抽出法を考案した。実験的検討をとおし、光CTに必要な直進光成分抽出の可能性を得た。

Research Products

• [Publications] K.Shimizu, et al.: "Imaging of absorption distribution in diffuse medium using backscattered light and integral operation"Tech. Dig. of OSA Biomedical Topical Meeting. (in press). (2002)
• [Publications] 清水孝一, 他: "後方散乱光による散乱体内部吸光度分布の推定"レーザー学会第289回研究会報告. RTM-01-15. 17-23 (2001)
• [Publications] F. Sato, et al.: "Quantitative imaging of diffuse medium using near-axis scattered light"Tech. Dig. of CLEO-PR2001. 1. 382-383 (2001)
• [Publications] H. Horie, et al.: "Cross-sectional imaging of diffuce medium using backscattered light"Tech. Dig. of CLEO-PR2001. 1. 360-361 (2001)
• [Publications] 堀江浩文, 他: "後方散乱光による体内吸光度分布推定法の開発"電子情報通信学会技術研究報告. MBE2000-171. 63-70 (2001)
• [Publications] 藤原 功: "光透視のための生体内光散乱特性の基礎的解析"電子情報通信学会技術研究報告. MBE2000-172. 71-76 (2001)