2002 Fiscal Year Annual Research Report
リビングラジカル固相重合法によるバイオ分子ハイブリッド体形成ポリマーの創製
Project/Area Number |
13878180
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90193341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 順司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60323531)
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Keywords | バイオコンジュゲート / リン脂質ポリマー / パパイン / 酵素活性 / リビングラジカル重合 / 光イニファータ / バイオハイブリッド / 分子量制御 |
Research Abstract |
リビングラジカル重合に用いる開始剤としてジチオカルバメート系の光イニファータを合成し、プロトンNMRおよび赤外吸収スペクトルから合成の確認を行った。リビングラジカル重合に用いるモノマーとして、バイオハイブリッド体調製においてバイオ分子の安定化が期待できる2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)を選択した。プロトンNMRおよびゲル浸透クロマトグラフィーから分子量を見積もり、多分散度は1.2-1.4程度であることを確認した。得られたポリマーは、バイオ分子のモデルとしてのパパインに対して水溶性縮合剤によって化学的に固定化した。パパイン一分子あたりのポリマーの導入率は、パパイン中のアミノ基の定量より20-40%(5-7分子)であると見積もられた。MPCポリマー固定化パパインの酵素活性を検討したところ、酵素溶液の保存温度が40℃の場合において未修飾のパパインと比較して15日間にわたって酵素活性が維持された。円二色スペクトルによるMPCポリマー修飾パパインの構造変化を検討したところ、αヘリックスやβシート構造に由来するスペクトルの変化は認められなかった。このようなバイオハイブリッド体形成ポリマーによる酵素の安定化機構については、ポリマーによるハイブリッド体形成時にパパイン分子の会合が誘起され、保存期間中に徐々に会合体の解離が起こるものと推察された。この点を明らかにするために、タンパク質用のゲル浸透クロマトグラフィーによる分子量の解析を行った。その結果、バイオハイブリッド体形成直後において、高分子量体のピークが確認されたものの、15日間の保存中にそのピークが徐々に減少していった。このことは、バイオハイブリッド体の会合、凝集の時間依存性を示していた。以上の結果よりリビングラジカル重合法による分子量分布の規定されたバイオハイブリッドポリマーの合成方法の確立と、バイオハイブリッド体の保存安定性の向上効果を明らかにした。
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Research Products
(1 results)