2002 Fiscal Year Annual Research Report
未分化な肝芽細胞/肝前駆細胞様細胞株を用いた増殖、分化を制御している遺伝子の探索
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13878191
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 康司 (財)神奈川科学技術アカデミー, 幹細胞制御プロジェクト, 研究員 (20321911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳内 浩之 (財)神奈川科学技術アカデミー, 幹細胞制御プロジェクト, 研究員 (80342955)
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Keywords | 肝芽細胞 / 肝幹細胞 / DNAチップ / 膜抗原 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
昨年度、マウス胎児肝芽細胞(胎児肝臓における肝幹細胞)に特異的に発現している遺伝子を同定する目的でcDNAチップ解析(マウスGEM2マイクロアレー:クラボー)を行い、胎児肝臓に高発現しているIntegral membrane protein 2A (Itm2A, E25A)を同定した。Itm2Aタンパク質は263アミノ酸残基から構成され、一次構造から2型膜タンパク質であることが推定される。ノザンブロット、RT-PCR、ホールマウントin situハイブリダイゼーションによるItm2A mRNAの発現解析の結果、マウス胎生10.5日から12.5日の胎児肝細胞に高発現しており、その後、急速に減弱していき、成体肝臓では全く発現していないことがわかった。胎児肝臓は造血器官として働いており、おもに未熟肝細胞と血球から構成されているが、Itm2Aは血球には発現しておらず、未熟肝細胞に発現していた。この時期の未熟肝細胞は、肝芽細胞とも呼ばれ、将来、肝細胞と胆管上皮細胞の2種類の細胞に分化する能力をもつ、肝幹細胞であると考えられている。また、ヒト胎児肝臓の全RNAサンプルを用いて、ヒトItm2Aの発現を調べたところ、ヒトにおいても胎生6週目から12週目のヒト胎児肝臓においても発現が認められた。すなわち、Itm2Aはマウスだけでなく、ヒトにおいても胎児未熟肝細胞に発現している膜抗原であることが判明した。Itm2Aに対する抗体はポリクローナル、モノクローナルいずれも市販されていない為、ポリクローナル抗体については、Itm2Aの細胞内領域のGST融合蛋白質を作成し、これを抗原としてニワトリを免疫し、抗マウスItm2A抗体を作製した。また、モノクローナル抗体については、Itm2A全長cDNAを組み込んだ発現ベクターを構築し、培養細胞に発現させたものをラットに免疫し、リンパ節細胞とマウスミエローマ細胞株とを融合させハイブリドーマを作成し、Itm2Aの細胞外領域を認識するモノクローナル抗体を産生するクローンを得た。今後、これら抗体を用いて、詳細な発現パターンを解析していく予定である。
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