Research Abstract |
1.アラビア文字の発展に関するシナイ半島南部等の碑文の現地調査に基づくアラビア文字岩壁碑文集Ancient and Islamic Rock Inscriptions of Southwest Saudi Arabia I : Wadi Khshaybaを出版した。 2.周縁的なアラビア文字の使用に関して,ワークショップ「周縁アラビア文字文化の世界---規範と拡張---・(2)」(平成16年6月26日)を開いた。このワークショップの研究成果内容を同名のタイトルで出版した。 3.内陸アジアの文字資料に関する今年度までの研究成果に基づき,2004年12月12日〜14日の3日間,神奈川県箱根で,新疆(中国領中央アジア,東トルキスタン)の歴史文書資料に関する国際ワークショップ「18-20世紀新疆史関連史料の諸相」(International Workshop on Xinjiang Historical Sources)を開催した。参加者は31名,うち16名は海外からの招聘者ないしは日本に滞在中の外国人研究者である。当該分野に関する,世界で最初の学術集会となった。 4.平成16年7月11日に,国内外から37名の参加者を得て,国際研究ワークショップ「キリシタン版を印刷から考える」を開催し,組版規範の変遷,多面組付け(imposition)の古活字版への影響など,多くの学界未知の現象の報告・検討がなされた。研究成果はhttp://jcs.aa.tufs.ac.jp/Cchristdoc/workshop-040711/index.htmlから報告されている他,出版を計画中である。 5.研究成果の社会還元という観点からアラビア文字の特徴を整理しわかりやすく説明した展覧会「アラビア文字の旅」(平成16年11月24日〜12月22日)を開催した。 またこの展覧会の関連イベントとして講演会「アラビア書道の魅力」(12月8日)を開催した。 6.平成17年3月4日に研究会「表記の習慣がなかった言語の表記---フィールドワーカーの視点から---」を開催した。この研究会ではさまざまな地域で調査を行う6人のスピーカーが,研究対象とする言語の表記についてその現状と問題点を話し,討論を行った。この研究会の成果は平成17年度中に論文集の形で刊行予定である。 7.インド系文字のオープンタイプフォントの開発に関して,クメール文字,ラオ文字,グルムキー文字,タミル文字,テルグ文字について必要なインテリジェントさを持ったフォントの開発を行った。また,汎用Input Methodの開発に基づいて,デーヴァナーガリー文字,国際音韻記号,クメール文字,グルムキー文字,タミル文字,テルグ文字などについて効果的な入力システムを開発した。 8.東京大学文学部小倉文庫所蔵の朝鮮語文献のうち,朝鮮漢字音資料(真言・陀羅尼の読音及び近世中国語の転写音が記載されている文献)を中心に電子化を行った。現在そのテキストデータを順次作成中である。 9.展覧会「台湾資料-テキスト・音・映像で見る台湾:1930年代の小川・浅井コレクションを中心として」を2005年3月3日〜3月30日に開催した。期間中の総来場者数は,延べ378人であった。展示についての評価はおおむね好評で,台湾で新聞報道されるなど,反響があった。同時に記念講演会,国際ワークショップ,国際シンポジウムなども開催した。 10 そのほか,前年度に引き続き,文字論・文字史に関する貴重文献の収集,アジア諸文字の文献・碑文・写本・刊本等の現地調査,それら資料のデジタル化,オンラインリソースの構築,及びオープンタイプフォントの開発等を行った。本研究の研究進行状況及び研究成果の詳細は,本COE拠点ウェブサイトhttp://www.gicas.jp/を参照されたい。
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