Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 昭司 広島大学, 大学院工学研究科, 教授 (90081314)
藤井 博信 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 特任教授 (30034573)
世良 正文 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (40196978)
谷口 雅樹 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (10126120)
小口 多美夫 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (90253054)
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Research Abstract |
すきまと電子系の複合自由度を活かした物質の創製と新機能の開拓を推進し,以下の成果をあげた。 1.新化合物創製班 山中:超高圧合成により,体心斜方格子及び面心格子のC_<60>高密度3次元ポリマー単結晶の合成に成功した。これは立方晶BNに匹敵する高硬度を示した。超高真空中でβ-Mo_2N薄膜の合成に成功し,Tc=5.2Kの超伝導を見出した。 高畠:充填スクッテルダイトAT_4Sb_<12>(A=Ca,Sr,Ba)のうちで,T=Fe系は強磁性寸前の状態にあり,T=Os系では充填イオンの局在振動が熱伝導率を抑制していることを見出した。キャリア密度を制御したクラスレート単結晶Ba_8Ga_<16-x>Ge_<30+x>を育成した。 2.ナノ構造機能創製班 藤井:軽元素水素貯蔵物質として,Liグラファイト系ナノ複合材料を作製し,8質量%以上の水素を350℃以下で吸蔵放出させた。ナノ構造化グラファイトを正極,活性炭を負極にしたハイブリッドキャパシタを作成し,40F/g以上に高容量化した。 八木:超伝導体中の非平衡準粒子輸送に関してアルミニウム細線を用いて詳しくしらべ、準粒子電荷インバランスが素子内の輸送電流の経路によらず拡散的に伝導すること、電荷インバランスが線形的な重ね合わせができることを示すことに成功した。 3.固体物性測定班 世良:Ce_xPr_<1-x>B_6において非整合四重極秩序を見出し,Ce_xLa_<1-x>B_6のIV相が希土類添加で容易に壊されることを確認した。PrOs_4Sb_<12>とUBe_<13>におけるスピン三重項超伝導の可能性を核磁気共鳴実験により指摘した。 鈴木:銅酸化物超伝導体La_<2-x>Sr_xCuO_4とCe_<2-x>Nd_xCuO_4の硬X線光電子分光実験により,前者においてZhang-Rice一重項の存在を結論した。強磁性体CuCr_2Te_4で異常なスピン波励起を,Ba_8Ga_<16>Sn30において横波C_<44>モードに周波数分散を観測した。 4.固体分光測定班 宇田川:一連のカゴ状化合物RB_6,RT_4X_<12>,R_8Ga_<16>Ge_<30>におけるRイオンの運動が,対称心が無いときは1次のラマン散乱に,有るときは2次のラマン散乱に出現し,その出現にはRイオンの平坦な分散関係とキャリヤの存在が重要であることを発見した。 浴野:走査トンネル顕微鏡により,層状超伝導体MgB_2とクラスレートBa_8Ga_<16>Sn_<30>の表面原子像を直接観測した。MgB_2の強結合多重ギャップとBa_8Ga_<16>Sn_<30>の擬ギャップの大きさを決定し,電子状態密度の空間分布を明らかにした。 5.放射光測定班 谷口,生天目:HiSORアンジュレータビームラインの測定システムを改良し小型低温ゴニオを開発した。世界最高水準の放射光角度分解光電子分光により,銅酸化物超伝導体の準粒子寿命について重要な知見を得た。CeRhIn,CeRhSn,Ce_<1-x>La_xRhAsの高分解能光電子分光実験から,フェルミ準位近傍のCe4f状態を抽出した。遷移金属ナノ構造体の磁気円二色性測定により,構造とスピン・軌道角運動量の関係を決定した。共鳴逆光電子分光により,チタン酸化物の非占有電子状態を明らかにした。スピン角度分解光電子分光装置を開発し,強磁性遷移金属薄膜の構造とスピン偏極の関係を決定した。 6.理論解析・物質設計班 小口:第一原理計算の結果に基づき,ダブルペロフスカイト型構造の酸化物系をターゲットとして強磁性強誘電性物質をデザインし,Bi_2NiMnO_6がその候補であると提案した。LaMnO_3やYTiO_3の軌道秩序とX線吸収線二色性スペクトルとの関係を議論し,超伝導体のAg_5Pb_2O_6やB添加ダイアモンドの電子状態を明らかにした。 城:Ce化合物の内殻励起スペクトルのアンダーソン模型に基づく過去の解析を再検討し,4f電子間斥力が従前よりもかなり小さいことを指摘した。三バンドハバード模型に基づき,マグネタイトのVervey転移温度の上下で,非共線的な軌道磁気モーメントをもつ秩序状態の可能性を指摘した。
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