2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13F01764
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂井 克之 東京大学, 大学院医学系研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KAWABATA DUNKAN Keith 東京大学, 大学院医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 読字 / 仮名 / 漢字 / 機能的MRI |
Research Abstract |
日本語は形態文字である漢字と、表音文字である仮名の二種類の所持言語を有するという点で極めてユニークなものである。これを利用して読字の脳内メカニズムについて二つの実験を行った。ひとつは漢字と仮名の読みに関する脳内機構の検討である。局所脳損傷患者を対象とした研究からは、仮名処理は左大脳半球優位であるのに対して漢字は両側半球で処理されているとする説、そして漢字は腹側経路、仮名は背側経路と分かれているとする説が提唱されている。日本人健常者を対象として機能的MRIを用いた実験を行い、脳領域間の信号伝達パターンを解析した。漢字を読むときには仮名に比べて右側腹側後頭側頭領域(vOT領域)から左側vOT領域へ至る経路の信号伝達が強くなっており、漢字と仮名の半球優位性の相違が示唆された。また漢字を読むときには腹側経路の信号伝達が強く、仮名を読むときには背側経路の信号伝達が強くなっており、腹側、背側経路の相違が示唆された。すなわちこれまで提唱されてきた二つの仮説の双方ともが成立すると考えられる。ふたつめの実験は、読字関連脳領域に対する視覚的親近性と語義的使用頻度の効果についての検討である。左半球のvOT領域は、使用頻度の低い単語を読むときに活動が大きくなるが、この活動が単語を読むときの認知的負荷を反映しているのか、視覚的情報処理を反映しているのか不明であった。漢字と平仮名の二つの書字言語を持っ日本語の特性を生かして、単語の使用頻度の効果と文字の視覚的親近性の効果を区別するような行動課題を作成し、機能的MRI実験を行った。左半球vOT領域の活動は、語義的使用頻度よりも視覚的親近性によって大きく左右されることが明らかとなり、この領域は文字の視覚情報としての側面の処理に関わっていることを示唆する結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(3 results)