2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13F02352
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石川 拓司 東北大学, 大学院工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAADATMAND Maryam 東北大学, 大学院工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 生物流体力学 / ストークス流れ / 繊毛 / 流れの可視化 / 拡散 / 物質輸送 |
Research Abstract |
本年度は、まず始めに、気道内の繊毛流れを観察するための実験系を確立した。共焦点マイクロPIVシステムをセットアップし、流速計測が精度よく行えるかキャリブレーションを行った。キャリブレーションにはPDMS製の微小流路を用い、デキストラン溶液にトレーサー粒子を混入して流した。粒子の軌跡をハイスピードカメラで計測しPTV (Particle Tracking Velocimetry)解析を行うことで、速度ベクトルを求めた。そして速度分布を解析解と比較し、計測精度を検証した。その結果、本システムでマイクロスケールの流れ場を精度良く計測できることが確認できた。 次に、マウスから気道を摘出し、共焦点マイクロPIVシステムを用いて繊毛流れ中のトレーサー粒子の挙動を可視化した。得られた画像をPTV解析することにより、高さ方向の速度分布および流れの乱れの強さを計測した。また、気道粘液を模擬するため、流体の粘度を変化させた計測も行った。これらの実験により、健常な気道内における繊毛流れの機能および輸送効率を議論することが可能となる。こうした実績は、気道のクリアランス機能の生理を理解する上で非常に重要であり、PCDなどの疾患のメカニズムの理解にも役立つと考えられる。 さらに、修得したマイクロ流れの計測技術を生かし、微小流体流路内の血液流れなど、他の生物流れの計測も並行して行った。これらの研究でも順調に結果が出てきており、本手法が幅広い生物流れに応用できることが分かった。こうした派生的な研究成果は、本研究課題の研究手法の開発に資するのみならず、特別研究員の将来の活躍の場を広げるものであり、重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験装置の構築、実験・解析技術の習得を予定通りに行えたこと。また、予定通りマウスを用いた実験を実施し、既に興味深い結果が計測できていること。さらに、開発した技術を他の生物流れに応用展開できており、研究の質・量ともに良好であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を遂行する上での問題点は特にない。 今後は、まず始めに、繊毛流れに及ぼす粘液粘度の影響を調べていく。そして、まばらに存在する繊毛細胞の非定常な繊打によって、一定方向の定常な流れが形成されるメカニズムを解明する。さらに、共焦点マイクロPIVの計測技術を他の生物流れにも応用展開し、流体力学の観点からさまざまな生物流れの機能を明らかにしていく。
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