2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13F03011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藍田 宏 京都大学, 文学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
STEVANOV Jasmina 京都大学, 文学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 実験美学 / 美的経験 / fMRI / 報酬系 |
Research Abstract |
知覚的な快経験に関連する脳領域を探求するため, オブジェクトの集合が全体として別のオブジェクトに見える視覚刺激を作成し, 全体的知覚の判断に関する応答をfMRIを用いて測定する実験研究を行った. これまでに行ってきた, 快経験が強い絵画芸術作品における知覚的な気づきの場合とは異なり, 側頭葉の反応特異的応答は顕著に見られなかった. また, この判断は単なる局所・広域の知覚判断であり, 快経験は伴わないあるいは弱いものであった. 総合すると, 海馬傍回など側頭葉における知覚的気づきが快経験を伴い, それは側頭葉を含む脳内報酬系の働きと関連していることが示唆された. 多くの被験者から膨大なデータが得られているため, 現在も結果の整理が続いている. 実験研究と並行して, 日本心理学会において実験美学に関するシンポジウムを開催し, 国内の専門研究者との情報交換を行った. また, それはFrontiers in Psychology誌における特集号主催への布石となった. 続いて, Stevanovは次年度にECVP(欧州視覚学会)サテライト会議(VSAC)における国際シンポジウムを, Branka Spehar博士(豪州South Wales大学)との共同で開催することが決まり, 準備を進めている. さらに, 視覚芸術作品に関する数理・心理学的実験を新たに進めるため, Johannes Zanker教授(英ロンドン大学)と協議を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体としては計画以上に進展しており, 成果をもとに論文執筆が進んでいる. 一方, 系各調書に書いたfMRIデータの動的結合性分析(DCM)の導入については十分な進展が得られず, その手法の妥当性の再評価も含めて見直しを進めている, 心理学的研究と共同研究の拡がりは当初計画を超えて進んでおり, 研究全体の意義を損なうものではない.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きfMRI実験と心理学実験を並行して進め, 成果の論文化を進める. DCMの適用については慎重にならざるを得ない状況となったが, その代わりに解剖学的な結合性の分析(DTI)に関する技術習得が進んでおり, 全体として美的経験に関係する脳領域とそのネットワークを解萌するという目標は変更しない. 実績の概要欄に書いたVSACにおけるシンポジウムの企画は本研究の完成だけでなく今後の研究の推進のために重要であり, できるだけ注力していきたい, また, 研究計画時には想定していなかったZanker教授との共同研究が進んでおり, 4月末には教授が京都を来訪して議論を進める, その結果, 本年度においてすてに, 当初目的の範囲内で実験研究に新たな展開存加身ることができるだろう.
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Research Products
(4 results)