2013 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導-グラフェン接合を利用した量子エンタングラー
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13F03019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樽茶 清悟 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BORZENETS Ivan Valerievich 東京大学, 大学院工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | グラフェン / ジョセフソン接合 / 量子もつれ |
Research Abstract |
常伝導-超伝導接合におけるクーパー対の分離は、量子もつれ対の分離、言い換えると非局所な量子もつれ状態の生成に対応しており、加工性に優れた2次元状のグラフェンを常伝導体としてこれを実現できれば、他の材料を使用した場合に比べて非局所量子もつれ状態の利用に向けた指針を立てやすい。本年度は、グラフェン-超伝導接合を用いたクーパー対分離の実現に向けて、試料の作製及び測定系のセットアップに取り組んだ。まず、鉛(超伝導)とグラフェンとの間で再現性良く良好な電気接触を得る方法を開発した。新たに立ち上げた低温の測定系において、この試料の測定を行い、グラフェンの超伝導電流を観測することができた。次に. グラフェンを加工して狭窄領域をつくり、グラフェンの量子ドットができることを確認した。試料の作製においては、銅箔上にCVD成長されたグラフェンを転写して利用する方法を開発し、剥離法で得られるグラフェンを用いた場合と同様の超伝導電流が観測されることを確認した。これにより、大きな試料の作製が可能になった。これを受けて、年度途中からは、CVDグラフェンを用いた試料作製を進めている。これらの進展を得て、年度の終わりからはクーパー対の分離に用いるY接合試料の作製に取り組んでいる。 並行して、Duke大学と共同で、オーバーダンプ型のグラフェンジョセフソン接合を用いて試料本来の臨界電流を取り出す研究にも取り組んだ。既に試料の作製を終え、Duke大学の研究者が実験に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに試料の作製及び測定系のセットアップに取り組み、これらが順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、Y接合型のグラフェン-超伝導試料において、クーパー対の分離を試みる。また、グラフェン試料のパラメータ(移動度、Thoulessエネルギーなど)と超伝導電流との関係を明らかにする。
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