2013 Fiscal Year Annual Research Report
PT対称な量子可積分系と非エルミート量子系およびその非平衡量子ダイナミクス
Project/Area Number |
13F03020
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
出口 哲生 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GIRI P.r お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 可積分系 / 量子多体系 / ベーテ仮設方程式 / ストリング解 / 1次元ハイゼンベルグ模型 / フィデリティー / 非平衡ダイナミクス / 非エルミート性 |
Research Abstract |
1次元量子ハイゼンベルグ模型など可積分量子系では、可積分性を保ったまま非エルミートな場合へとハミルトニアンを拡張できる。そこで、非エルミートな可積分量子系のハミルトニアンでPT対称性が成り立つ場合に、固有値問題を厳密に解き、固有値スペクトルを調べ、そして重要な物理量の時間発展を調べてダイナミクスの特徴を明らかにすること、が当初の研究目的であった。そして具体的には、1次元量子ハイゼンベルグ模型など可積分量子系のベーテ方程式の数値解を求め、フィデリチィー(fidelity)などを数値的に厳密に求めてその振る舞いを明らかにする。 可積分量子系の非エルミートな場合の時間発展を調べる予定であったが、しかし、研究を進めてみると、実はエルミートな場合でさえも重要な物理量の時間発展を調べる研究が十分には行われていなかったことが判明した。このため、最初にエルミートな可積分量子系の時間発展を先に求めることにした。 実際、局所磁化など重要な物理量を求めてその時間発展を調べるためには、ベ一テ方程式を数値的に解くことが必要であり、重要なポイントとなる。これまでに複素数値の束縛解であるストリング解を組織的に求める研究に着手し、Giri氏との共同研究により、まだ誰にも求められていない格子サイズ12の場合のストリング解をほとんど全て求めることに成功した。N=12の複素解は、これまで未知の新しいタイプの複素数値の束縛解を含み、従来のストリング仮説を拡張する結果が導かれた。 そして、今回新たに数値的に求められたストリング解を用いて、1次元量子ハイゼンベルグ模型のフィデリチィー(fidelity)の時間発展を数値的に厳密に求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1次元量子ハイゼンベルグ模型など可積分量子系のハミルトニアンのエネルギー固有値、そして局所磁化など重要な物理量を求めてその時間発展を調べるためには、ベーテ方程式を数値的に解くことが必要であり、重要なポイントとなる。これまでに複素数値の束縛解であるストリング解を組織的に求める研究に着手し、まだ誰にも求められていない格子サイズ12の場合のストリング解を、一個を除いて全て求めることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、可積分量子系の非エルミートな場合の時間発展を調べる予定であった。しかし、研究を進めてみると、実はエルミートな場合でさえも重要な物理量の時間発展を調べる研究が十分には行われていなかったことが判明した。このため、今後はしばらくエルミートな可積分量子系の時間発展を先に調べる予定である。
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Research Products
(1 results)