2013 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性配位高分子の作るナノ空間中での超不安定ケイ素種の新しい化学
Project/Area Number |
13F03032
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 進 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Liangchun 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 外国人特別研究員
|
Keywords | 細孔 / 吸着 / 錯体 / 触媒 / ラジカル / 多孔性配位高分子 |
Research Abstract |
金属イオンと有機配位子によって構築される配位高分子のうち、内部に均一なミクロ孔を有する多孔性配位高分子(以下PCP)は、新しい多孔性物質として近年世界中で爆発的に研究が進んでいる。PCPは(1)有機配位子の特性を利用して細孔空間の化学的および物理的性質を変化させられる事、(2)結晶性の非常に柔らかな構造体を構築できるという2つの特徴を有している。これまでに、(1)と(2)の特徴を組みあわせ非常に不安定な化学種であるナイトレンをナノ空間中で安定に光照射によって発生させることに成功しているが、本研究課題ではPCPのナノ空間の持つ特異性に着目することによって、従来不安定で研究することが不可能であったような化学種を対象とした化学の展開を試み、それをPCPの空間機能と結び付け、新しい多孔性材料化学としての展開をも試みるものである。今年度はまず不安定種のひとつのラジカル種であるニトロキシルラジカルを有する配位子を合成した。電子スピン共鳴スペクトル測定および単結晶X線回折測定により、ラジカル種が配位子の分子内にあることを確認した、また、その配位子を用いてPCPの合成を行った。X線結晶構造解析の結果、このPCPは一次元性の細孔を有しており、その細孔表面には高密度でラジカル種が存在していることを明らかにした。さらに、このラジカルサイトを触媒活性点として各種アルコールの触媒的酸化反応の検討を行った、その結果非常に興味深い基質サイズ選択的酸化反応を示すことが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不安定種であるラジカル種を有するPCPの合成のみならず、吸着および触媒反応まで検討することができ論文として、投稿するまでに至っており、研究はおおむね順調といえる。今後はより不安定な化学種であるシリレンを有するPCPの合成の成功を目指す。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度はラジカル種を有するPCPの合成に成功したが、シリレンを有するPCPの構造決定には至らなかった。配位子の立体構造を工夫したり、ポストシンセシスの手法を改良して、シリレン含有PCPの合成および物性評価を行い、不安定化学種を有するPCPの化学を展開していく。
|
Research Products
(2 results)