2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13F03033
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 治 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HUANG Yougui 九州大学, 先導物質化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 錯体 / 外場応答性 |
Research Abstract |
光や熱、圧力等の外部刺激により磁気特性、電気伝導性などの様々な物性を自由に制御できる新しい物質の開発を目指した研究が盛んに行われている。外場応答性を有するダイナミック材料は、分子メモリやスイッチング材料などへの応用が期待されている。我々の研究室では、優れた光・磁気機能を有する新規刺激応答型金属錯体クラスターを合成することを目指し研究を行い、光照射により金属間電子移動を示す多核鉄コバルト錯体等を開発することに成功している。本研究ではこれらの知見に基づき、外場応答性を有する単一イオン磁石と分子性メカニカル材料を開発することを目指して研究を行った。その結果、異方的結晶変形を示す配位高分子[Me_2NH_2]^+・[Mg_2(BPTC)(NO_3)(H_2O)](錯体1 ; H_4BPTC=biphenyl-3,3'5,5'-tetracarboxylic acid)を合成することに成功した。結晶構造の解析から、錯体1が12_12_12_1の空間群に属することが分かった。また、温度を上昇させるとb軸方向に膨張、c軸方向に収縮が観測されることが明らかとなった。熱膨張係数はb軸方向とc軸方向でそれぞれ約76×10^<-6>K^<-1>、-26×lO^<-6>K^<-1>であった。b軸方向の熱膨張係数は通常の熱膨張係数に比べて約一桁大きかった。結晶構造解析により、この異方的結晶変形はナノチューブ状構造を有する骨格とゲスト分子間の水素結合の強さが変化することによって誘起されていることが示唆された。さらに、ゲスト分子と骨格間の水素結合の影響を確かめるために、ナノチューブ骨格とゲスト分子間に水素結合の無い錯体1の類似体[EtNH_3]+・[Mg_2(BPTC)(No_3)(H_2O)](錯体2)を合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
巨大な外場応答を示す配位高分子を見出すことに成功した。従っておおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に見出した異方的結晶変形を示す配位高分子(錯体1)の物性評価を詳細に行うとともに、錯体1の類似体[EtNH_3]_+・[Mg_2(BPTC)(NO_3)(H_2O)](錯体2)を用いてゲスト分子と骨格間の水素結合が結晶変形に及ぼす影響を検討する。
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