2013 Fiscal Year Annual Research Report
環境改善のための有害有機物と無機物の超音波化学処理
Project/Area Number |
13F03048
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
興津 健二 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
UDDIN Md Helal 大阪府立大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 超音波分解 / 芳香族化合物 / 過酸化水素 |
Research Abstract |
超音波照射によって生成される微小気泡反応場の化学的特徴や有害有機物の分解メカニズムについて検討するために、微小気泡と溶液の界面領域で分解反応すると考えられる有機物に対して文献調査した。その調査結果を踏まえて本年度は、分解対象物質に各種官能基を有する芳香族化合物(1,4-ベンゾキノン(Be)、ヒドロキノン(Hy)、レゾルシノール(Re)、カテコール(Ca)、フェノール(Ph)、クロロフェノール(Ch))の超音波分解について検討することにした。超音波分解実験を行った結果、分解速度はRe<Ca<Ph<Hy<Ch<Beの順であった。得られた結果を考察するために、芳香族化合物の疎水性を表すLog P(ここでPは水と1-オクタノールへの芳香族化合物の溶解に対する分配係数)と分解速度の関係について検討した。その結果、Ca、PhとChについては、Log Pが大きくなるにつれて分解が速く進行するものと考えられた。これはLog Pの大きい物質は微小気泡界面や近傍に高濃度で存在しやすく、その結果、OHラジカルによる分解や直接熱分解が起こりやすくなったものと考えられた。Beの分解速度が他の化合物と比べて数倍分解速度が速かったため、上記以外の分解機構を考える必要が出てきた。水溶液に超音波を照射すると水が分解してOHラジカルが生成するが、OHラジカル同士の再結合反応の進行により過酸化水素も生成する。そこで比較実験として超音波照射無しで、Beと過酸化水素の反応を実験で確認した。その結果、過酸化水素がBeの分解に寄与している可能性が示唆された。硫酸ナトリウムの添加効果についても検討したが、現在、引き続き検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種芳香族化合物の超音波分解や新たな分解機構の解析など、着実に実験を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は各種芳香族化合物の分解や超音波照射により生成する過酸化水素の反応性について検討することができた。過酸化水素は有害無機物の過マンガン酸イオンの還元にも利用できるので、今後、芳香族化合物の分解メカニズムをさらに解析するとともに、有害無機物の超音波化学処理法の開発へと発展させていきたいと考えている。
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