2013 Fiscal Year Annual Research Report
河口域における水循環と塩水遡上を予測する包括的フレームワークの開発
Project/Area Number |
13F03060
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
中山 恵介 北見工業大学, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DUC HOANG Nguyen 北見工業大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 河口 / 塩水進入 / 二次流 |
Research Abstract |
河川河口域で生じる塩水遡上現象を簡易的に診断するフレームワークの構築を目指して研究を遂行している. Nguyen氏の開発した塩分分布に基づいた塩水遡上モデルに基づき, 河口域の塩水遡上管理を容易にするフレームワークを構築するため, 訪問初年度は網走川を利用した現地観測の実施と解析を中心に研究を進めた. その結果, 塩水の遡上を大きく抑制する可能性がある, 一般的に知られている二次流とは逆方向の回転の鉛直循環が発生していることを発見した. 現在, Estuarine Coastal and Shelf Scienceに投稿する準備を行っている. さらに, Nguyen氏の開発したモデルの信頼性を検証するため, ベトナムにおける網状河川のデータおよび広島の扇状地におけるデータを入手し, 現在, 解析を進めている. 河道内の塩水遡上距離の変化は, 農業・工業的な取水の問題だけではなく, 周辺の植生をはじめとした生物環境を大きく変化させるため, 適切な現象の評価が望まれており, 本成果により新たな河口における河川管理手法の提案が可能となると考える, 解析的モデルにおいて必要とされるのは, 地形データと数箇所の塩分モニタリングのみで, 適用河川の特性パラメーターを抽出し, 地形の影響を考慮した河道内の塩分分布形と淡水流入量を正確に予測することが可能となる. Nguyen氏のアイディアと現在, 新たに開発中の数値モデルを組み合わせて, 今までにない塩水遡上管理手法(フレームワーク)を提案することを本年度の目標とする. このフレームワークの構築が実現すれば, 日本のみならず, 発展が遅れている後進国においても容易に利用できるツールを提案できることになる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際雑誌への投稿は, 現在, 作成中であり数ヶ月以内に投稿できる予定であるが, 昨年度中に投稿できなかった. その点は計画以上に進展しているとはいえない. しかし, 国際会議3本に投稿し採択されており, 成果の好評については順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度, 現地観測を行い解析した結果をEstuarine Coastal and Shelf Scienceと呼ばれる国際雑誌に投稿する予定である. また, 広島大学等の他機関から関連する観測データをいただき, 共同研究として成果をまとめる予定である. 今年度は, 現地観測は行わず, 理論解析などを中心とした取りまとめに集中したい. これまで順調に計画が進められており, 特に問題点はない. 研究タイトルであるフレームワークの構築に向け, 順調に進めることが出来ていると考える.
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