2013 Fiscal Year Annual Research Report
マルチフェロイク超薄膜へテロ構造における電荷/歪誘起電気-磁気交差相関の解明
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13F03065
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷山 智康 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUSEELA Savitha Pillai 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 磁性 / スピンエレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
マルチフェロイク強磁性/強誘電性薄膜ヘテロ構造を用いた磁性の電界制御は、低消費電力スピントロニクスの技術基盤として喫緊の課題である。本研究では、強磁性体と強誘電体とのヘテロ界面における電気-磁気交差相関効果を介した磁性の電界効果について、巨大磁気抵抗細線を用いて明らかにすることを目的としている。 強磁性/非磁性/強磁性3層構造は巨大磁気抵抗を示すことで知られており、2つの強磁性層の磁化が相対的に反平行状態を取るときに大きな電気抵抗が観測される。このことは磁気抵抗曲線(電気抵抗の磁場依存性)から、各磁性層の磁気異方性を評価することができることを意味している。そこでH25年度は、まず現有のMBE装置を用いてBaTiO3基板上にFe、FeGa等の強磁性体薄膜を種々の膜厚で成長し、強磁性薄膜/強誘電体ヘテロ構造試料を作製する手法の確立から開始した。その後、現有の電子線微細加工装置を用いることでCo/Cu/Fe3層細線/強誘電体BaTiO3ヘテロ構造を作製し、その磁気抵抗曲線から磁性層の磁気異方性の電界効果について調査した。その結果、BaTiO3の2つの強誘電相(tetragonal相、orthorhombic相)において磁気抵抗曲線が特徴的な変化を示すことが明らかとなった。特にorthorhombic相においては、細線直下に位置するBaTiO3の強誘電ドメイン構造に依存して、磁気異方性の電界効果の様子が変化し、初期分極方向が電界方向に垂直のときに大きな磁気異方性の電界効果が発現することが示された。以上の結果は、磁気異方性の電界効果がBaTiO3の分極スイッチ過程と密接に関連していることを示しており、電界に敏感に応答する強誘電ドメイン構造を用いることでさらに大きな電界効果を発現させることが可能であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載の研究項目については、概ね完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、巨大磁気抵抗3層構造を用いているが、高精度の実験結果を得るためにはより大きな磁気抵抗を有する細線構造を用いる必要がある。そのためには、3層構造の各層の厚さの最適化、接合界面をより平坦化のための技術開発が必要であると考えられる。
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