2013 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子/受容体による神経軸索再生の制御メカニズムの解明
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13F03077
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 邦弘 名古屋大学, 理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Chun 名古屋大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | チロシンキナーゼ / E-box結合型転写因子 / svh-2発現誘導 / 神経軸索再生 |
Research Abstract |
今年度は、線虫の神経軸索再生を制御する受容体型チロシンキナーゼsvh-2の神経切断依存的な発現誘導に必要なシスおよびトランスの因子について解析した。まず、svh-2の神経切断依存的な発現誘導に必要なプロモーター配列を調べたところ、転写開始点から約2.6kbの領域が発現誘導に必要十分な領域であることがわかった。さらにその領域に含まれていた3つのE-box配列にそれぞれ変異を導入したところ、ある1つに変異を導入した場合には発現誘導が全く起こらなくなり、別の1つに導入した場合には発現誘導のレベルが低下した。残り1つについては全く影響がなかった。従って、svh-2の発現誘導にはプロモーター上の2つのE-box配列が必要であることが明らかとなった。また、svh-2の神経切断依存的な発現誘導に必要なE-box結合型転写因子の候補を同定することにも成功した。この同定されたE-box結合型転写因子を神経で多量発現したところ、神経切断非依存的に神経でのsvh「2の発現が誘導された。これらのことから、svh-2の発現はE-b。x結合型転写因子によって行われると考えられる。さらにsvh-2の神経切断依存的な発現誘導に必要な因子として、遺伝学的相互作用を利用した網羅的RNAiスクリーニングにより同定されたsvh遺伝子群の中から、新たに2つの転写因子と1つのプロテインキナーゼを同定した。これらの遺伝子の欠損変異体について神経軸索再生への関与を調べたところ、いずれの遺伝子も神経軸索の再生に必要であった。以上の結果から、svh-2の神経切断依存的な発現誘導には複数の転写因子およびリン酸化シグナルが関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの解析から、svh-2の神経切断依存的な発現誘導に必要なプロモーター配列、svh-2の発現誘導にはプロモーター上の2つのE・box配列が必要であることおよびsvh-2の神経切断依存的な発現誘導に必要なE-box結合型転写因子の候補を同定することにも成功したので、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、新たに同定された2つの転写因子と1つのプロテインキナーゼについて詳しく解析することで、svh-2の神経切断依存的な発現誘導仕組みを明らかにする。
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Research Products
(1 results)