2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13F03078
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
太田 博樹 北里大学, 医学部, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SCHMIDT Ryan William 北里大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 古DNA / 縄文人骨 / 弥生人骨 / 古墳人骨 / 混血 / 移住 / 遺伝的背景 / 古ゲノム解析 |
Research Abstract |
【具体的な内容】本研究では古人骨からDNAを抽出・精製し、先史時代に日本列島に住んでいた人々の集団間の遺伝的交流を検証する。茨城県ひたちなか市には多くの古墳が点在する。十五郎穴横穴群遺跡(8~9世紀)はそうした遺跡の1つである。この古墳時代遺跡出土人骨7検体から骨片あるいは歯牙を採取し物理的に粉砕した上、DNA抽出・精製をおこなった。 【意義・重要性】日本列島では考古学的証拠から縄文時代は約1万2千年前に始まり、約2千3百年前に弥生時代が始まった。縄文時代から弥生時代へは劇的な変化を示す。すなわち、縄文時代は狩猟採集を生業の中心としたが、弥生時代は大規模水田農耕が開始した。それぞれの時代の遺跡から見つかる人骨の形態も大きな変化を示す。縄文時代の遺跡からは、彫りが深く角張った顔面形態の背が低い人骨が見つかるが、弥生時代の遺跡からはのっぺりとした長い顔の長身な人骨が見つかる。日本の考古学では、これらは主に生業形態の変化に伴う形態変化と考えられてきたが、一方、自然人類学では主に大陸から北部九州への水田農耕の伝播に伴う大量の移民(渡来系弥生人)と在地系縄文人が弥生時代に共存し、徐々に混血したと考えてきた。弥生時代の次にくる古墳時代、関東平野から東北地方にかけての地域は、渡来民の影響が北部九州や近畿より少なく、在地系縄文人が多く住んだ地域と想像される一方、考古遺物には畿内の政権の強い支配の影響がうかがえる。したがって、この時代のこの地域の人骨試料のDNA分析を行うことにより、渡来民の移住と混血の再現が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般に古人骨に残存しているDNAは、断片化が進み、全体の分子量も劇的に減少している。十五郎穴横穴群遺跡出土人骨も分析の結果、残存するDNAはダメージを受け量も激減していることがわかった。このため、実験のさまざまな過程で困難があり、研究計画は全体に予定よりも「やや遅れている」と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回分析の対象とする遺跡出土人骨7検体からのDNA抽出は現在進行中である。これら抽出DNAの定量PCRを行い、残存DNA量が十分なものについて、Whole Genome Enrichmentをおこない、またSequence CaptureによりミトコンドリアゲノムDNAを濃縮し次世代シークエンサーで解析を行う。
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Research Products
(1 results)