2013 Fiscal Year Annual Research Report
天敵カブリダニの長期低温保存による生物的防除への効率的利用
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13F03084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
天野 洋 京都大学, 農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GHAZY NOURELDIN Abuelfadl Noureldin 京都大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ミヤコカブリダニ / 天敵資材 / 温度 / 湿度 / 環境順化 / 越冬 / 耐凍性 / 生存率 |
Research Abstract |
天敵資材として既に市販もされているミヤコカブリダニの、販売目的で輸送する際におけるロスを最小限に抑えるための研究を進めた。低温で輸送すると、輸送対象の雌成虫の死亡率が低減され、常温に復帰後の産卵率の低減も見られない事は既知でもあったが、これに加えて低温高湿条件を確保するとその後のパフォーマンスは更に向上した。さらに、実験的に低温高湿に移す前の栄養条件を変えるため、休眠ハダニ、非休眠ハダニ、ナシ花粉をそれぞれ与えたミヤコカブリダニ雌成虫を低温高湿で75日間した後、雌成虫の生存率、産卵能力、子孫の生存率を観察した。その結果、休眠ハダニを食した後に低温高湿を経験した区で最もよい雌成虫のパフォーマンスが得られた。今後の天敵資材利用に有用な情報が得られた。 さらに、本種の低温に対する生理生態的反応を詳しく観察するため、種々の前処理の後に雌成虫を-10℃環境下に2時間隔離して生存率などを解析した。常温から低温に急に移した場合に比べて、まず5℃に1時間入れて慣らし、その後に低温に移すと生存率は2%以下から75%まで改善された。この処理に加えて、異なる温度の順化や、各発育ステージでの生存率なども観察した。これらの結果は、天敵資材として異なる環境に突然移される本種の利用の際に有用な情報であると思われた。 これらの結果も含めて、H25年度には4報の学術論文(全て国際誌)と3回の学会発表(1つは国際会議)として情報公開がなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の進展のみでなく、学術誌や学会発表(国際会議も含めて)も数量ともに充実した実績を残せた。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階で特段の支障は起こってない。研究設備もほぼ整備され、研究環境には不備は生じてない。今後の研究方向は、ここまでに得られた生態的情報を物質レベルで検証する研究に方向性を進めている。
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Research Products
(7 results)