2013 Fiscal Year Annual Research Report
南アジアにおける協同組合の設立による持続的な森林管理の条件解明
Project/Area Number |
13F03088
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 宣子 九州大学, 大学院農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ISLAM Kazi Kamrul 九州大学, 大学院農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 協同組合 / 参加型森林管理 / 南アジア / アグロフォレストリー / バングラデシュ / 非木材林産物 / 森林組合 / 総合農業協同組合 |
Research Abstract |
本研究は、南アジアの参加型森林管理地においてアグロフォレストリー作物の共同販売を目的とする協同組合設立の意義と課題を明らかにすることである。平成25年度は、①日本において多品種少量農産物を生産し、販売方法が異なる、大分県下郷農協と大山農協において、組合組織の体制、組合員と組合の関係および流通・販売体制に関する資料収集②ドイツのニーダーザクセン州の農業協同組合、森林組合の調査、③協同組合に関する文献調査並びに有識者との意見交換(ゲッティンゲン大学・京都大学)、④バングラデシュの平地林(マーメンシ・サルフォレスト)および丘陵林(テクナフ)の参加型森林管理参加者および行政担当者に対して、対面調査による協同組合への参加条件意向のデータ収集を行った。その結果、バングラデシュでは、住民の貧困克服と持続的な森林資源管理システム確立のためには、①農林産物販売時点での商人資本支配の低減と協同組合による流通チャネルの開拓、②住民の造林・森林施業とアグロフォレストリー農産物・非木材林産物の生産技術の向上、③緊急時における資金貸付によるセーフティーネットの確立の3つ支援しうる協同組合組織が望まれること、そのためには日本における総合農協の設立過程、および多品種少量生産地域における農協による農産物の販売や森林組合による原木市場を開設等の経験や研究蓄積が参考になることがわかった。日本では、生産物の「組合による価格保証型共販」(全量買取型 : 下郷農協)と「生産者による価格提示型共販」(道の駅型 : 大山農協)の試みがあり、それらのモデル化と南アジアへの適用の条件を次年度検討することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度のデータ収集は、日独関係諸機関の調査受入調整がスムーズにでき、予定どおりにデータ収集を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者による日本での単独による情報収集は言葉の問題で難しいことと、組合数を増やして調査を実施するよりも大分県の2つの農業協同組合の事業展開と組合員との関係性を深く分析する方が有効であることが判明したため、次年度は下郷農協と大山農協の詳細調査に集中する。調査には研究代表者または大学院生が同行する。南アジアへの適用可能性のフィールド調査はバングラデシュを中心に実施し、インドとネパールは文献調査を行う。
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Research Products
(4 results)